マツダ ルーチェレガート(LA4MS型):昭和52年(1977年)10月発売
1977年(昭和52年)に発表されたルーチェレガートは、2代目ルーチェとロードペーサーの中間を埋める車種として登場した。事実上の3代目ルーチェといえる。2代目ルーチェがスポーティ路線だったのに対して、ロードペーサーに近い高級路線をとったため、名称もルーチェレガートとした。サイズは当時のライバルと目されたチェイサーSGツーリングより全長で85mm、全幅で10mm大きい。とくに全幅の1690mmというサイズはクラウンに匹敵するものだ。ちなみに発表当時は「ミニ・キャデラック」という声も聞かれたほどの大きさだった。
機種体系は、4ドア ピラードハードトップ(HT)と4ドアセダンの2機種となる。それぞれにロータリーエンジン(12A/13B)と、2Lおよび1.8Lの直4 SOHCエンジンの4種類のエンジンを搭載している。なかでも4ドア ピラードHTは、マツダとして初の市場導入となった。厳格な安全基準に合致させるために、多くのアメリカ車が採用しているピラーのついたハードトップスタイルをとったのも、ある程度の妥協だったのかもしれない。
フロントビューは角型タテ2連式ヘッドライトを採用した特徴的なものとなっている。そのアクの強いフロントに対してリアはシンプルなデザインとし、後続車への視認性向上のためにサイドボディまで大きく回り込ませたコンビネーションランプを配したのが特徴だ。
ここで主に紹介するルーチェレガート2000スーパーカスタムに搭載されたMA型エンジンは、1975年にコスモAPに初搭載されたものをベースとして改良したものだ。総排気量は1970ccで、冷却効率の良いアルミ合金製シリンダーヘッドを採用したほか、クロスフロー型吸排気バルブ、多球型燃焼室、フルトランジスター点火方式など、当時の最先端を行く内容だった。低回転域からぐいぐいと加速しようとするトルクフルな性格を持つ。
昭和53年度排出ガス規制対策としては「マツダ安定燃焼方式」を採用した。これは51年度対策車に採用した希薄燃焼方式を基本に改良を加えたもので、マツダが独自開発した空燃比自動補正式気化器を使って三元触媒を働かせるシステム。本来なら電子制御燃料噴射装置を使いたいところだが、当時のマツダにはキャブレターしかなかった。そこでマツダはキャブレターのベンチュリー部に発生する負圧とインテークマニホールドに発生する負圧を利用して空燃比をコントロールし、三元触媒を利用できるようにした。
トランスミッションは、2LのMA型エンジン搭載車は5速MTのみ。まだMTが当たり前だった時代を感じさせるものといえる。ちなみに1.8LのVC型エンジン搭載車は4速MTのみ。ロータリーエンジン搭載車は、5速MTと3速AT(REマチック)が選択できた。
サスペンションはフロント:ストラット/リア:5リンクリジッドで、先に発売されたコスモAPを引き継ぐもの。特筆されるのは、けっしてスポーティなクルマではないのに軽快さが光るところだ。基本はゆったり走ることを目的としているので、ハンドリングはシャープといえるほどではないし、高速コーナーではロールも大きい。それでも破綻せずに適度なアンダーステア傾向を維持する素性の良さを持っていた。
マツダ ルーチェレガート 2000スーパーカスタム 主要諸元
●全長×全幅×全高:4575×1690×1390mm
●ホイールベース:2610mm
●重量:1130kg
●エンジン型式・種類:MA型・直4 SOHC
●排気量:1970cc
●最高出力:110ps/5300rpm
●最大トルク:17.0kgm/3000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175SR14
●価格:128万円