ランドローバーのフラッグシップであるレンジローバーブランドは、いまや大から小まで4つのモデルで構成される一大オフローダーファミリーへと拡大。そして2019年5月に日本で発表されたのが、末弟ともいえるコンパクトSUV「イヴォーク」の2代目である。今回はその中でも、マイルドハイブリッドのパワートレーンを搭載した「レンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEV」に試乗することができた。

スポーティな外観ではあるが、居住空間をしっかり確保されている

グローバル市場で2011年にデビューするやいなや、コンパクトラグジュアリーSUV市場に一大旋風を巻き起こし、ランドローバー史上最速の4年半で生産台数50万台を記録した初代イヴォーク。日本でも2012年に発売されると人気をさらい、納車まで1年以上かかると言われたほどだった。さらに、3ドアボディやソフトトップのコンバーチブルをラインアップするなど、個性派としても知られている。

その初代のコンセプトを引き継いで登場した2代目は5ドアのみのラインアップに変更されて、2019年5月に日本でも発表された。ボディサイズはほぼ据え置きの全長4380mm(従来比+25mm)/全幅1905mm(同+5mm)/全高1650mm(同+15mm)に設定され、エクステリアは新しさを取り入れつつも、ひと目でイヴォークだとわかるデザイン。

しかし直線基調だった初代と比較すると、よく見れば曲面を多用したフロントマスクやフローティングルーフの採用など、兄貴分にあたるレンジローバー ヴェラールと共通する部分が多い。電動格納式のドアノブも同様だ。

画像: 今回試乗したレンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEV。ラインアップの中でも最上級グレードにあたる。

今回試乗したレンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEV。ラインアップの中でも最上級グレードにあたる。

ボディサイズの1900mmを超す全幅を見てビックリするが、全長の短さもあって実物を前にしても思ったより大きさを感じない。この全長、国産車と比較するとトヨタ C-HR(4385mm)とほぼ同じで、マツダCX-5(4545mm)より165mmも短いというコンパクトさだ。そのため取り回しも楽だ。

これだけ全長が短いと後席のレッグスペースを心配してしまう。しかし、実は従来モデルからこの点の評価は高く、さらに2代目でホイールベースを20mm延伸させたことで後席スペースの前後長も長くなっている。運転席のシートポジションを身長180cmの私に合わせて後席に座っても、ひざまわりにまだ余裕があるほどだ。後席座面のおしり部分を低く沈ませることで、頭上スペースを確保する工夫も施されている。

画像: 全長4380mmというコンパクトさでも、リアシートの空間は確保されている。

全長4380mmというコンパクトさでも、リアシートの空間は確保されている。

1950kgのボディをしっかり加速させるエンジン&モーター

レンジローバーイヴォークにはガソリンとディーゼルを含めていくつかのエンジンが用意されているが、いずれも2L 直4ターボでパワーの異なる4種類から選択することになる。今回試乗することができたのは、300ps/400Nmというハイパワーなエンジンを搭載した「Rダイナミック HSE P300 MHEV」というグレード。車両価格もイヴォーク(470万円〜816万円)の中でもっとも高い816万円に設定されている最上級モデルとなる。

グレード名にあるとおりこのモデルにMHEV、マイルドハイブリッドシステムが組み込まれている。走行中に17km/h以下まで減速するとエンジンを停止させて48Vバッテリーに充電、その電力とスタータージェネレーターで駆動・発進することで燃費を向上させるものだ。とはいえ、実際に試乗してみてもこのシステムが作動しているかどうかを判別することは難しく、なにごともなかったかのように静かに走り進んで行く。

画像: 今回試乗したレンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEVの2Lターボエンジンは300ps/400Nmを発生する。

今回試乗したレンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEVの2Lターボエンジンは300ps/400Nmを発生する。

この静粛性の高さは想定外だった。試乗前に主要諸元表をながめていたとき、エンジンパフォーマンスの300ps/400Nmという数値からBMW X2 M35i(306ps/ 450Nm)やアウディ SQ2(300ps/ 400Nm)などのようなスポーティグレードを思い浮かべ、官能的なエンジン音と排気音をちょっと期待していた。

ところが走り出してみると、期待した音だけでなくロードノイズや風切り音などさまざまな騒音を抑えられ、大幅に静粛性を高めたことがわかる。しかもその走り味は紳士的で、乗り心地もしなやかで高速道路の継ぎ目のような段差もソフトにいなしてくれる。

と、いい意味で期待を裏切られたわけだが、この快適性の高さもラグジュアリーSUVブランド、レンジローバーらしさなのかもしれない。思い返してみると兄貴分のヴェラールもこのイヴォークと同じような印象だった。(文:蔭山洋平/写真:井上雅行)

レンジローバー イヴォーク Rダイナミック HSE P300 MHEV 主要諸元

●全長×全幅×全高=4380×1905×1650mm
●ホイールベース=2680mm
●車両重量=1950kg
●パワートレーン=直4 DOHCターボ+モーター
●排気量=1995cc
●最高出力=300ps/5500-6000rpm
●最大トルク=400Nm/2000-4500rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=9速AT
●車両価格(税込)=816万円

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