クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第47回は「ジャガー XJ220」だ。

ジャガー XJ220(1992-1998年)

画像: 全長は4.9m近く、全幅も2.2mを超える大柄なボディ。リトラクタブル式ヘッドランプはカバーが下がる方式だ。

全長は4.9m近く、全幅も2.2mを超える大柄なボディ。リトラクタブル式ヘッドランプはカバーが下がる方式だ。

1990年代の第二次スーパーカーブームの波は、ついにイギリスの高級車メーカーであるジャガーにも押し寄せてきた。1988年のバーミンガム モーターショーで、ジャガーはオリジナルのスーパースポーツカー、XJ220のプロトタイプを発表した。XJはジャガー車のシリーズに用いられている名称で、220は目標最高速度が220mph(時速220マイル=約354km/h)であったことに由来する。

1960年代にル・マン制覇を目指して開発された幻のレーシングプロトタイプ「XJ13」をオマージュしたと言われる空力性能を重視したボディに、ジャガー伝統の6LのV12 DOHCを500psにチューンして縦置きミッドシップ搭載し、駆動方式は4WDという魅力的なパッケージに、早くもオファーが殺到した。予想以上の反響にジャガーは生産化を真剣に考えざるを得なくなり、市販化に向けて動き出した。

だが、V12 DOHC+4WDというパワートレーンでは重量やコストなどの成約もあり、目標の220mphを達成するのは不可能と思われた。そこでエンジンはル・マンなどで活躍したグループCマシンのXJR-10に搭載されていた3.5LのV6 DOHCツインターボに変更し、4WDも断念して駆動方式はRWDとなった。それでも最高出力は550ps、最大トルクは65.4kgmに達し、5速マニュアルのトランスミッションを介して最高速度は216マイル(約348km/h)に達した。

画像: インパネ回りのデザインは、他のスーパーカーの荒々しさとは無縁の落ち着きを見せる。

インパネ回りのデザインは、他のスーパーカーの荒々しさとは無縁の落ち着きを見せる。

当時のスーパーカーとしても大柄なボディに、リトラクタブル式ヘッドランプやグラストップも採用し、インテリアは開発段階からの構想どおり、コノリーレザーを多用したラグジュアリーなフィニッシュで、ジャガーならではの世界を構築している。スーパーカーといえども、オンロードを走る以上は快適性も必要である、という高級車メーカーのジャガーらしい信念を感じさせた。

市販型のXJ220は1991年の東京モーターショーでワールドプレミアされ、翌1992年から販売された。価格は29万ポンド(当時のレートで約6900万円)。限定台数は車名にちなんで220台の予定だったが、バブル景気の影響でオーダーが殺到し、350台になった。だが、実際に売れたのは280台ほどだったらしい。正規輸入はされなかったが、日本にも数台が棲息していた。

レーシングバージョンも製作され、ル・マンをはじめとしたスポーツカーレースに参戦もしていた。

画像: 空力性能を重視したボディで、アンダーフロアはグランドエフェクト構造になっていた。

空力性能を重視したボディで、アンダーフロアはグランドエフェクト構造になっていた。

ジャガー XJ220 主要諸元

●全長×全幅×全高:4930×2220×1150mm
●ホイールベース:2640mm
●重量:1350kg
●エンジン種類:60度V6 DOHCツインターボ
●排気量:3498cc
●最高出力:550ps/7000rpm
●最大トルク:65.4kgm/4500rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前245/45ZR17、後345/30ZR18

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