2020年2月から7月にかけて133回連載して人気を博した「スーパーカー年代記」。その中から人気の高かった10モデルを夏休み特別企画としてプレイバックしよう。第3位は「ロータス ヨーロッパ」だ。

ロータス ヨーロッパ(1966-1975年)

画像: 丸形2灯のヘッドランプに内側のウインカー、低いノーズなどのディテールは、のちのエリーゼなどに引き継がれている。

丸形2灯のヘッドランプに内側のウインカー、低いノーズなどのディテールは、のちのエリーゼなどに引き継がれている。

1970年代後半の日本で起こったスーパーカーブームは、池沢さとし(現・早人師)氏の連載マンガ「サーキットの狼」が火付け役であったことは間違いない。そのマンガの主人公である風吹裕也の愛車として登場したのが、ロータス ヨーロッパだった。パフォーマンスや車格から考えると、ロータス ヨーロッパはスーパーカーではない!という意見もあるが、ブームのきっかけを作った1台として、この企画ではスーパーカーとして紹介しておこう。

イギリスのスポーツカー メーカー、ロータス カーズがリーズナブルなミッドシップ スポーツカーとして、1966年に発表したのがヨーロッパだ。ロータスとしては、初めてエンジンをミッドシップ搭載した市販車でもある。ロータスのモデルは伝統的に現在まで「E」で始まる車名が付けられており(ロータス セヴンを除く)、ヨーロッパの綴りは「Europe」ではなく「Europa」であり、ギリシア神話の王女の名であるが、由来に関しては諸説あるようだ。

画像: 英国仕様は右ハンドル。右足のすぐ横がタイヤハウスとなり足もとは狭い。ブレーキ&クラッチペダルは床から生えている。

英国仕様は右ハンドル。右足のすぐ横がタイヤハウスとなり足もとは狭い。ブレーキ&クラッチペダルは床から生えている。

さて、ロータス カーズのFRスポーツカーとして人気のあったエランのY字型バックボーンフレームを前後逆に採用し、シートの後ろにエンジンを搭載する構成となっている。パワーユニットは、登場時のS1と1968年にマイナーチェンジされたS2では、ルノー 16用の1.5L 直4 OHVエンジンと4速MTを流用して搭載した。最高出力は82psと非力ながら、FRP製のボディは665kgときわめて軽量で走りは活発だった。それゆえ、ウイークエンドにモータースポーツを楽しむアマチュアのクラブマンレーサーに好まれる存在となった。

1971年には、ツインカム(TC)に進化する。その名が示すとおり、エンジンはフォード製のブロックに自社製のDOHCヘッドを組み合わせて搭載。1.6Lの排気量で最高出力は105psを発生した。1972年になると、スペシャル(SPL)が登場する。大径の吸気バルブを採用し、圧縮比をTCの9.5から10.5にアップして、126ps/15.6kgmのパワースペックを発生した。ミッションもオプションで5速MTも選べるようになった。

ロータス ヨーロッパはハンドリングの良さと安価で人気を呼び、1975年までに9000台以上が生産された。2006年、ロータス カーズはエリーゼやエキシージの兄貴分的なGTスポーツカーに「ヨーロッパ」の名を与えて発表した。だが、初代のイメージとはかけ離れたモデルであり、人気を得られず2010年にフェードアウトしている。

画像: TCからはボディ後半サイドのバーチカルフィンが低くなり、後方視界が改善されている。

TCからはボディ後半サイドのバーチカルフィンが低くなり、後方視界が改善されている。

ロータス ヨーロッパ スペシャル 主要諸元

●全長×全幅×全高:4000×1640×1090mm
●ホイールベース:2335mm
●重量:710kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1558cc
●最高出力:126ps/6500rpm
●最大トルク:15.6kgm/5500rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前175/70HR13、後185/70HR13

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