マツダの100%子会社、マツダE&Tで生産
これまでオープンスタイルで展開してきた「ロードスター」をベースに、「クーペ」という新たなスタイリングと走行性能をプラスして登場した 「ロードスター クーペ」は、「ロードスター クーペ」「タイプS」「タイプA」「タイプE」の4機種がラインアップされた。生産台数は、タイプAが200台、タイプEは150台、タイプSとロードスター クーペは受注生産で販売された。
4機種がラインアップされたとはいえ、全体的な生産台数はかなり小規模なロードスター クーペのために、新たな生産ラインを作るのは非合理的だった。そのためマツダは、100%子会社であるマツダE&T(エンジニアリング アンド テクノロジー)が持っていた少量生産モデルの開発技術を活用することで、ロードスタークーペを実現することができたのだ。
ロードスターをベースとするロードスター クーペは、ハンドメイドのモデリングとCAD技術を駆使することで、レトロモダンなテイストと機能美にあふれるスタイリングを体現した。また、クーペボディの開発にあたり、車体構造は見直され、オープンスタイルのロードスターと比べてボディ剛性は飛躍的に向上したにもかかわらず、車両重量はロードスターの約10kg増に抑えている。ロードスターはどんなスタイルになろうとも、ライトウエイトスポーツである「操る楽しさと人馬一体」という基本コンセプトを譲ることはできないのだ。
専用のエアロパーツを装着した「タイプA」
ロードスター クーペのフラッグシップモデルは、1.8Lエンジン(6速MT)を搭載するタイプA(限定200台)で、車両価格は310万円で、初代ロードスターの「M2シリーズ」以外では、初めて300万円を超えたモデルでもある。スタイリングは伝統的なレースカーを想わせるオーセンティックなデザインを採用し、特別装備としてフロントグリル、フロントフォグランプ、フロントバンパーフェィス/フェンダーアーチモール/リアスポイラー(FRP製)、フロントアンダースポイラー/サイドスカート/リアアンダースカート(カーボン製)、ヘッドランプベゼル、リアコンビベゼルを装備した。
おちつきのあるエレガントなデザインのタイプE(限定150台)は、1.8Lエンジンとクーペシリーズで唯一4速ATを搭載した。特別装備としてフロントグリル、フロントフォグランプ、フロントバンパーフェィス(FRP製)、リアコンビベゼルなどを装着し、ワンランク上のラグジュアリーなクーペを演出した。車両価格は280万円だった。
そしてロードスター クーペのベースグレードに位置するモデルは、1.6Lエンジンと5速MTを搭載する「ロードスター クーペ」で車両価格は235万円。また同タイプのエクステリアに、1.8Lエンジンと6速MTを組み合わせたのが275万円の「タイプS」。
1989年に登場して以来、オープンスタイルを貫きとおしてきロードスターに、クーペという新たな一面を提案したマツダ。これは2年後の2005年に登場する3代目ロードスターのモデル構成を、ユーザーに問うチャレンジだったのかもしれない。今となってはとても希少なモデルとなったのは間違いない。最後に、当時(2003年)、ロードスタークーペは国産唯一の5ナンバーサイズのFR(後輪駆動)クーペでもあったのだ。
車両価格(当時・税別)
ロードスター クーペ 1600L・5速MT 235.0万円
タイプS 1800 L・6速MT 275.0万円
タイプA 1800 L・6速MT 310.0万円
タイプE1800 L・4速AT 280.0万円
ベースモデル
ロードスター クーペ:1600SP
Type S:1800RS
Type A:1800RS
Type E:1800VS コンビネーションB
ロードスター クーペ装備リスト
【タイプA専用装備】
フロントグリル
フロントフォグランプ
フロントバンパー
フェイスフェンダーアーチモール
リアスポイラー(FRP製)
フロントアンダースポイラー
サイドスカート
リアアンダースカート(カーボン製)
ヘッドランプベゼル
リアコンビベゼル
【タイプE専用装備】
フロントグリル
フロントフォグランプ
フロントバンパーフェイス(FRP製)
リアコンビベゼル
ボディカラー
【ロードスター クーペ/Type S】
ピュアホワイト
サンライトシルバーメタリック
クラシックレッド
【Type A/Type E】
ライトニングイエロー
ベロシティレッド