ドライバビリティはエレガント
GTのスタイリングは、既存のマクラーレンのどれとも似ていない独自性の強いものだ。720Sのシンプルで穏やかな造形をベースとしつつも、より流れるようでエレガントなスタイリングとされている。これもグランドツアラーに相応しい造形といえる。そして570GTとよく似たテールゲートを設けることで、その下側に420Lものラゲッジスペースを生み出している。
マクラーレンによれば、そこには、サイズには限りがあるもののゴルフバッグまたは185cmのスキー板が2セット積めるという。
試乗すると、低速域で足まわりの動き出しがしなやかなことに驚かされる。その後のストローク感も文句なしに滑らかで、スーパースポーツカーとは味付けが明確に異なっている。
タウンスピードから高速道路まで極めて快適。私は570Sで300kmほどを一気に走ったことがあるが、GTだったら500km、いや1000kmでも疲れ知らずだろう。しかも、そうやって長距離を淡々と走ってもドライバーを飽きさせない。
それはステアリングインフォメーションであったり路面から伝わる振動であったりロードノイズであったりするわけだが、必要な情報を伝えつつもドライバーを疲れさせず、しかも飽きさせない。
570Sに比べてエンジン音が乾いた高音で、音量が控えめにされている点もキャラクターにマッチしている。もっとも、これらに近い要素は、GT以外のマクラーレンのラインアップも持ち合わせている。
つまり、グランドツアラー性とスーパースポーツ性の共存。マクラーレンの本質でもあるこの特徴を、GTは見事に体現しているとも言えるだろう。(文:大谷達也/最新ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」より)
![画像: 2019年10月にデリバリーが開始された「マクラーレンGT」。長距離ドライブにおける快適性を意識して開発されたスポーツカーで、その存在は非日常的だが、価格は2645万円と良心的。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/04/26/55bc66af3fb8c3a1e259a450af0dc935b5e814f9_xlarge.jpg)
2019年10月にデリバリーが開始された「マクラーレンGT」。長距離ドライブにおける快適性を意識して開発されたスポーツカーで、その存在は非日常的だが、価格は2645万円と良心的。
マクラーレン GT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4683×2045×1213mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1605kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:3994cc
●最高出力:620ps/7500rpm
●最大トルク:630Nm/5500-6500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
●車両価格:2645万円