いつ起きるかわからないクルマのトラブル対応に、ロードサービスは欠かせないものとなっている。ロードサービスの代表はJAF(日本自動車連盟)だろう。昔は独占的だったが、現在は他社のロードサービスや、自動車保険会社付帯のロードサービスもある。今回はJAFと自動車保険付帯のサービスにしぼり、どのような違いがあるのか、料金的にどちらにメリットがあるか考察してみた。

ロードサービスはJAF会員なら原則無料、自動車保険付帯サービスは制限あり

画像: ガス欠などは事前に防げる類のトラブルだが、不慣れな土地でガソリンスタンドがないと陥りやすい。こういうときにもロードサービスが頼りになる。

ガス欠などは事前に防げる類のトラブルだが、不慣れな土地でガソリンスタンドがないと陥りやすい。こういうときにもロードサービスが頼りになる。

運転中にいきなりタイヤがバーストしたり、燃料切れになったりなどのトラブルを経験したことはないだろうか。もちろん、事前にこのようなことが起きないようにするのが大前提だが、万が一の時は的確に応急処置をしたい。こんなときに利用するのがロードサービスだろう。

代表的なロードサービスにはJAFがある。1994年までは高速道路でのロードサービスを独占的に行うなど優遇されていたこともあり会員数を伸ばしてきた。現在でも会員数(個人会員、家族会員、法人会員を含む)で1963万人という超巨大組織だ。一方で注目されているのが自動車保険(任意保険)の付帯サービスだ。どちらもロードサービスを提供するが、そのサービス内容に違いがあるので整理してみよう。

画像: 一般社団法人であるJAFのロードサービスは、歴史も長く拠点も多いので安心感がある。年会費4000円は割安感もある。

一般社団法人であるJAFのロードサービスは、歴史も長く拠点も多いので安心感がある。年会費4000円は割安感もある。

以下で、それぞれのサービスを見ていくが、ざっくりとまとめるとJAFは会員ならばサービスの範囲が広く利用回数制限が少ないかない。一方、自動車保険付帯サービスの場合はおおむねね作業工賃は無料だがオイル、補充液代金などの部品代は実費負担で、利用回数も制限され、対応可能なトラブルの範囲は狭い傾向といえるだろう。また自動車保険付帯サービスは損害保険会社により内容がかなり異なるため、以下の比較は一例としてとらえていただきたい。ここでは実在するA社としておく。

まず路上トラブル解決に必須なサービスを見ていこう。代表的なサービスとなるレッカー搬送は、JAFなら15kmまで無料で、その後1km超過ごとに730円となる。A社の場合は50kmまでの距離制限があり提携工場への搬送ならば距離制限はない。冬季に起こりがちなバッテリー上がりはJAF、A社ともに応急始動作業は無料だが、A社は1保険年度に1回(つまり年1回)までとなる。JAFは回数制限がない。

ガス欠は、JAF、A社とも補給作業を行ってくれるが、燃料代金はA社が自動車保険加入初年度は実費、2年目以降は1保険期間中に1回無料となる。JAFも1年に1度のみ無料で、どちらも最大10Lまで補給してくれる。キー閉じ込みやパンク時のスペアタイヤ交換はどちらとも無料だ。

こう見るとレッカー距離が長い分A社の方がお得にみえるが、A社では対象外となるパンクの応急修理やタイヤチェーンの着脱も、JAFは対応してくれる。雪道や泥道などでタイヤが路面に取られた場合の引き上げは、A社ではタイヤチェーン装着など一定の条件を満たした車両の「雪道からの引き上げ」のみ対象だが、JAFは雪道、泥道のぬかるみ、砂場のスタックなど、とにかく引き上げてくれる。余談になるが筆者は若いころ、気のゆるみで愛車を水田に突っ込ませてしまったことがあるが、それでもJAFは引き上げてくれた。

画像: 突然の大雪などもロードサービスの出番ともいえるが、ここでもJAFと自動車保険付帯ロードサービスの対応が微妙に違ってくる。

突然の大雪などもロードサービスの出番ともいえるが、ここでもJAFと自動車保険付帯ロードサービスの対応が微妙に違ってくる。

JAFの守備範囲はここで紹介しただけに留まらず、原則的にあらゆる車両トラブルに対応可能で、路上でなく自宅ガレージなど路上外でも出動してくれる。出勤時にスターターを回したら、いつもと違う異臭・異音がして違和感を感じたなど、愛車が普段の様子と違うときにも相談が可能なのだ。

もうひとつ気をつけたいことにJAFと自動車保険付帯サービスの加入対象の違いがある。JAFの対象は運転者で、JAF入会者が運転するあらゆる自動車やバイクがロードサービスの対象になる。対して自動車保険付帯サービスは加入対象が車であるため、社用車やレンタカーなど他の車の運転中にトラブルが発生しても、ロードサービスの対象にはならない。

画像: A社ではすべての自動車保険契約にロードサービスをセットしている。自分のクルマをたまにしか運転しないというのならばこれでも十分といえる。

A社ではすべての自動車保険契約にロードサービスをセットしている。自分のクルマをたまにしか運転しないというのならばこれでも十分といえる。

当然だが自動車保険で契約外の人が付帯サービスを利用しようとしても、自動車保険の契約者でないため利用できない。愛車の入替え時に損害保険会社を他社に変更したら、等級は受け継げるもののロードサービス加入期間はふりだしからやり直しという面もある。A社でいえば具体的にはガス欠をした場合、最初の1年はガソリン10Lが実費となってしまうわけだ。

気になる料金の面だが、JAFは入会金1500円で年会費4000円となっている。ちなみに未入会者でもサービスはするが有料となり、金額は基本料金と作業料金で1回につき概ね1万円から1万6000円程度の出費となり、車両の状況により変動もあり得る。会員になって年に1度でもJAFのロードサービスを利用すればもとはとれる感じだ。自動車保険付帯サービスは基本的に保険料に含まれているので、入会金、年会費とも保険に入っていれば無料となる。

こう見ていくと自己所有以外の自動車も運転する機会が多いのならJAF入会、自己所有者以外運転しないのなら自動車保険付帯サービスだけでいいと言えそうだ。

画像: JAF+保険付帯サービスが最強の組み合わせ。JAF会員優遇サービスとなりレッカーの牽引搬送距離が長くなったり、保険だけでは適応外だったサービスも受けられるようになる。

JAF+保険付帯サービスが最強の組み合わせ。JAF会員優遇サービスとなりレッカーの牽引搬送距離が長くなったり、保険だけでは適応外だったサービスも受けられるようになる。

とはいえ自動車保険付帯サービスの対応範囲の狭さは心もとないという場合もあるだろう。そこで一番オススメしたいのが、JAFと自動車保険付帯ロードサービスの両方を組み合わせて利用することだ。そもそも任意自動車保険に入っていないのに、JAFに入っているという人はまれだと思うので、JAF会員は必然的にそうなると言える。

JAFは自動車保険加入者への優遇サービスを実施しており、A社もその対象となっている。JAF会員がA社で自動車保険に加入すると、レッカー距離は65kmまで無料となり、A社のみでは対応外だったパンク応急修理やタイヤチェーンの着脱も、サービス対象となる。あとは毎年4000円のJAF会費をもったいないと見るか保険と見るかの違いといえるだろう。(文・猪俣義久)

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