クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第82回は「マクラーレン P1」だ。

マクラーレン P1(2013-2015年)

画像: マクラーレン F1から伝統となっているディヘドラル ドアを採用。ハンマーヘッド(シュモクザメ)をイメージしたノーズは、後のモデルにも引き継がれていく。

マクラーレン F1から伝統となっているディヘドラル ドアを採用。ハンマーヘッド(シュモクザメ)をイメージしたノーズは、後のモデルにも引き継がれていく。

マクラーレン オートモーティブは、MP4-12C、MP4-12C スパイダーに続く第3のモデルとして、「P1」を2012年のパリ モーターショーでワールドプレミアさせた。スペックや価格などの詳細は、翌2013年のジュネーブ モーターショーで発表された。「P1」という車名はレースのピットサインで使われる「Position(ポジション)1」の略、つまり1位に由来している。

マクラーレンはF1グランプリでも1981年に世界初のカーボンファイバー製マシン「MP4/1」を開発し、1993年には世界初のオール カーボンファイバー製ボディの「マクラーレン F1」を開発するなど、カーボンファイバー テクノロジーの第一人者だ。このP1でも「モノケージ」と呼ばれるカーボンファイバー製のモノコックを採用し、ルーフ、ボディ下部、ルーフ シュノーケル、エンジン エアインテーク、バッテリーおよび電源ハウジングを含む重量はわずか98kgという、ロードカー史上最軽量レベルのボディ構造を誇る。

デザイン ディレクターはMP4-12Cと同様、フランク・ステファンソンだが、デザイン エンジニアのチーフはダン・パリー・ウイリアムズ。そのスタイリングは複数の動物からインスピレーションを受けたもので、とくに素早く動くことができるチーターに雰囲気は近いとしている。戦闘機を彷彿とさせるデザインのグラス キャノピーも特徴的だ。もちろん、ディヘドラル ドアも採用している。

画像: インテリアにもカーボンファイバー製マテリアルを多用し、センターコントロールユニットは軽量化のため一体成形されている。

インテリアにもカーボンファイバー製マテリアルを多用し、センターコントロールユニットは軽量化のため一体成形されている。

パワーユニットは、エンジンはMP4-12Cに搭載された3.8L のV8 DOHCツインターボをベースに、最高出力737ps/最大トルク720Nmにまでチューンされている。これに179psと260Nmを発生する電気モーターを組み合わせたハイブリッド システムを採用している。システム総合のパワースペックは、最高出力916ps、最大トルク900Nmを発生する。公称の最高速度は350km/h(リミッター作動)、0→100km/h加速は3秒未満、0→200km/h加速は7秒未満というハイパフォーマンスだ。

バッテリーはコクピットの後ろに搭載され、スロットルOFF時にはエンジンから充電されるが、減速時のエネルギー回生は行われていない。外部充電も可能で、空の状帯から2時間でフルチャージできる。また、フル充電ならモーターだけで10km以上(EU複合モード)の走行も可能だ。

ミッションは7速DCT。タイヤはピレリと共同開発したPゼロ コルサ。ブレーキには当時F1グランプリで提携していた曙ブレーキ工業製を採用していた。世界初のハイパー PHV、マクラーレン P1は375台の限定生産で、日本での車両価格は消費税込みで9661万5000円だった。

画像: いかにも空力性能の良さそうなスタイル。戦闘機を彷彿とさせるデザインのグラス キャノピーも特徴的だ。

いかにも空力性能の良さそうなスタイル。戦闘機を彷彿とさせるデザインのグラス キャノピーも特徴的だ。

マクラーレン P1 主要諸元

●全長×全幅×全高:4588×1946×1188mm
●ホイールベース:2670mm
●乾燥重量:1395kg
●パワーユニット種類:90度V8 DOHCツインターボ+モーター
●排気量:3799cc
●エンジン最高出力:737ps/7500rpm
●エンジン最大トルク:720Nm/4000rpm
●モーター最高出力:179ps
●モーター最大トルク:260Nm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後315/30ZR20
●当時の価格:9661万5000円(税込)

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