クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第108回は「アストンマーティン DBS スーパーレッジェーラ」だ。

アストンマーティン DBS スーパーレッジェーラ(2018年−)

画像: サイズ的には、DB11より少し短く、少し幅広いが、車高とホイールベースは同じだ。

サイズ的には、DB11より少し短く、少し幅広いが、車高とホイールベースは同じだ。

アストンマーティンは、DB11新型ヴァンテージに続くセカンドセンチュリー プランの第三弾として、2018年に「DBS スーパーレッジェーラ」を発表した。DBSとは過去に2度ほどアストンマーティンの高性能モデルに採用された名称で、スーパーレッジェーラ(Superleggera)とはイタリア語で「超軽量」を意味し、またイタリアのコーチビルダーであるトゥーリングが先鞭をつけた革新的なアルミ軽量車体技術へのオマージュでもある。

現在のアストンマーティン車は、GT、スポーツ、スーパーGTの3ラインアップを構成している。前述のDB11はGTに、ヴァンテージはスポーツにあたる。ここで紹介するDBS スーパーレッジェーラはDB11の高性能版でスーパーGTに相当し、それまでのヴァンキッシュSの後継モデルにあたる。

車名にスーパーレッジェーラとは付いているが、かつてのトゥーリングと同じ工法は採用してはおらず、軽量化の精神を引き継いでいる。DB11は既にアルミニウム製のシャシを採用していたが、さらにルーフやボンネットをカーボンファイバー製とし、左右のドアもアルミニウム製にすることなどにより、DB11よりも70kgの軽量化を果たしている。

画像: 長いボンネットの下には、DB11のものよりパワーアップされた5.2LのV12ツインターボエンジンが収められている。

長いボンネットの下には、DB11のものよりパワーアップされた5.2LのV12ツインターボエンジンが収められている。

日本で発表されたとき、当時のアストンマーティン アジア パシフィックのP. ニルソン社長は「DB11は変身前のブルース・ウエインで、DBS スーパーレッジェーラは変身後のバットマンだ」と語っていたが、DB11をベースにアグレッシブで筋肉質なスタイルとなっている。DB11で採用した、エアロパーツを使わずにボディ内に空気を流してダウンフォースを得る空力コンセプトを進化させ、最高速時のダウンフォースは180kgに達する。

フロントミッドシップ搭載された自社開発の5.2L(正確には5204cc)のV型12気筒 DOHCツインターボはDB11よりも最高出力は117psもアップされて725ps、最大トルクも200Nmアップされた900Nmというパワースペックを発生。DB11同様の8速ATをリアに搭載したトランスアクスル式FRで、最高速度は約340km/h、0→100km/h加速は3.4秒というパフォーマンスを発揮する。

そんなハイパワーながらGT的な走りも可能で、FRゆえプラス2以上のリアシートやラゲッジスペースも確保されている。ソフトなレザーとアルカンターラで仕上げられたインテリアは、アストンマーティンらしい高品質なもので、タイヤ空気圧モニタリング システムやパーキングディスタンス ディスプレイ付き360度カメラなど、快適装備も充実している。

2019年にはオープンモデルのヴォランテも追加された。DBS スーパーレッジェーラは、ジェントルさと荒々しさを併せ持つ高性能GTマシンといえるだろう。

画像: リアセクションのデザインやルーフの形状はDB11とは大きく異なる。トランクリッド上にはカーボンファイバー製のスポイラーを装着。

リアセクションのデザインやルーフの形状はDB11とは大きく異なる。トランクリッド上にはカーボンファイバー製のスポイラーを装着。

アストンマーティン DBS スーパーレッジェーラ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4712×1968×1280mm
●ホイールベース:2805mm
●重量:1693kg
●エンジン種類:60度V12 DOHCツインターボ
●排気量:5204cc
●最高出力:725ps/6500rpm
●最大トルク:900Nm/1800-5000rpm
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21
●当時の価格:3434万2333円

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