クルマは税金の塊とも言われるほど多くの税金がかけられている。だが、現在クルマにどんな税金が課せられ、税収合計はいくらになるかご存じだろうか? 令和元年に自動車関連税が改正され、現在はコロナ禍で自動車税種別割に猶予措置となるなど、ちょっと落ち着かない感じもあるが、今回は個人所有の乗用車の場合を例にとって、その税収の規模を見ていこう。

自動車税種別割は新型コロナで支払い猶予の自治体も出た

画像: 全世界に猛威を振るっている新型コロナ(COVID-19)。STAY HOMEの呼びかけにより、感染拡大を防ぐ手段がとられたが、経済活動の縮小は否めなかった。

全世界に猛威を振るっている新型コロナ(COVID-19)。STAY HOMEの呼びかけにより、感染拡大を防ぐ手段がとられたが、経済活動の縮小は否めなかった。

コロナ禍により全世界的に経済活動が停滞している昨今。もちろん日本も例外ではなく、政府は多種の税金納付の猶予措置を決めた。そのうちのひとつにクルマを維持するうえで毎年負担する「自動車税種別割」および「軽自動車種別割」が含まれたのは以前もお伝えしたとおり。

それはそれでありがたいのだが、その他にも、自動車は購入・保有・燃料各費用に、必ず税金がかかっている。ここでは現在の厳しい経済情勢の中、その他も含めて自家用車を購入する場合にかかる税金の名称と税収額(2018年度分)を解説しよう。とくに、自動車関連税が日本の税金の中でどれくらいかを知ることは、自動車ユーザーにとっては重要なことだろう。

再確認となるが、日本国内で販売されているクルマの購入時にかかる税金は、「自動車税種別割/軽自動車税種別割」、「自動車税環境性能割(一般的には環境性能割)」、「自動車重量税」、そして「消費税」だ。「自動車税種別割/軽自動車種別割」とは従来の「自動車税/軽自動車税」のこと。名称を変更したのは、税制改正により令和元年(2019年)10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車(登録車)の税率を引き下げたのに伴ってのことで、課税タイミングや課税対象者は従来の自動車税と同じとなる。

画像: クルマには、重量税、環境性能割、自動車税種別割(軽自動車税種別割)、購入時の消費税など何重もの税金がかけられている。

クルマには、重量税、環境性能割、自動車税種別割(軽自動車税種別割)、購入時の消費税など何重もの税金がかけられている。

この「自動車税種別割」の納付先は都道府県、「軽自動車税種別割」は市区町村となるという違いはあるが、どちらも使用目的を限定しない普通税だ。コロナ禍により各地方自治体でも支払いの猶予措置を設けたことでも話題となった。この税金はグリーン化特例(2021年3月31まで適応)に対応したクルマを購入すれば、2020年度燃料基準到達度によって軽減される。平成30年(2018年)度のこの税の収入額は、自動車税が1兆5258億円、軽自動車税が2604億円だ…といってもなかなかピンと来ないかもしれないが、日本の国家予算がざっと100兆円と考えると決して少ない額ではない。

「自動車税環境性能割」も令和元年10月の税制改正によって設けられた自動車関連税だ。従来の「自動車取得税」に代わり導入された普通税で地方税となる。これは環境性能割という名称どおり、2020年度燃費基準到達率により、税率が登録車で取得価格の0~3%、軽自動車で取得価格の0~2%が課される。なお今年の9月30日までだった1%の臨時的軽減は、コロナ禍により期間が1年延長され令和3年(2021年)9月30日までになっている。「自動車税環境性能割」は登録車で2020年度燃費基準を+20%以上、軽自動車で+10%以上達成で税率が0%になる。少しでも税負担を減らしたいのなら、最新の低燃費車を購入するしかないわけだ。

画像: 新型コロナは、2007年の米国のサブプライムローン危機からリーマンブラザーズの破綻(リーマンショック)以上の経済的損失を世界にもたらしたと言われる。

新型コロナは、2007年の米国のサブプライムローン危機からリーマンブラザーズの破綻(リーマンショック)以上の経済的損失を世界にもたらしたと言われる。

この税収だが、「自動車税環境性能割」は平成30年度には存在しなかった税なので、代わりに2018年当時の「自動車取得税」の収入額をご紹介すると、1665億円と自動車関連税としてはかなり少額となっている。これは、新車の販売台数の減少や中古車で50万円以下なら非課税となるということの影響が大きいだろう。その傾向は景気が回復しないかぎり、環境性能割りでも同じになることが予想される。

「自動車重量税」は、車両取得時と車検時に課税される普通税で国税だ。昭和46年の導入当時は道路の維持点検費用に充てる目的税で、いわゆる道路特定財源だったが、批判を浴びた道路特定財源の一般財源化にともない普通税となった。「自動車重量税」も2020年燃費基準到達度によって減免され、+40%以上で取得時の納税が、+90%で初回車検時の納税が免除される。2018年度の税収は、6661億円だ。道路族議員や官僚の財布とも言われた道路特定財源が一般財源化されたことで、本来なら透明化されるはずだったが、自動車ユーザーのため以外にも使用される上、未だ使途不明という面では釈然としないところも残る税金となっている。

「消費税」は平成元年4月の導入当初は社会保障と少子化対策を目的としたが、現在では広範な社会保障と医療にも充てられている目的税だ。平成30年度時点の税率は8%で、うち78.75%相当の6.3%が国税、残り21.25%相当の1.7%が地方消費税だ。

2018年度の自動車本体購入で徴収された金額は1兆4130億円で、国税分が1兆1127億円、地方消費税が3003億円と算出できる。また「消費税」は、新車販売時にディーラーオプションの購入や各種手数料にも課税されるので実際の徴収金額はさらに高額になるはずだ。

平成30年度の自動車に関する税金(地方税)

・自動車取得税 1665億円
・自動車税 1兆5258億円
・軽自動車税 2604億円

平成30年度の自動車に関する税金(国税)

・自動車重量税 6661億円
・消費税 1兆4130億円

画像: 暗い話題の多い3ヵ月間だったが、日本の経済活動もようやく正常に戻ろうとしている。ここでもう一度自動車関連税について考えてみるのもいいだろう。

暗い話題の多い3ヵ月間だったが、日本の経済活動もようやく正常に戻ろうとしている。ここでもう一度自動車関連税について考えてみるのもいいだろう。

とくにコロナによって収入減になったから…ということではないが、これを機会に自動車ユーザーとして自動車関連税を考えてみるのもいいかもしれない。クルマを走らせるとなるとこれに加えて燃料代がかかるのはもちろんだが、それには「揮発油税及び地方揮発油税(いわゆるガソリン税)」がかかってくる。これに関しては次回解説しよう。(文:猪俣義久)

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