今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ホンダ シビック(7代目)」だ。

ホンダ シビック(7代目:2000年)

画像: 旧型よりも車高は120mmも高められ、いままでのシビック=3ドア ハッチバックというイメージを大きく変えた。

旧型よりも車高は120mmも高められ、いままでのシビック=3ドア ハッチバックというイメージを大きく変えた。

2000年9月、ホンダの中核モデルであるシビックがフルモデルチェンジされて7代目となった。その姿を見たとき、多くの人が驚愕したはずだ。それまで、シビックといえば車高が少し低めの3ドア ハッチバックのスタイルを思い浮かべる人が多かっただろう。4ドア セダンや5ドアハッチバックも設定されてきたが、あくまでシビックの主流は3ドア ハッチバックだった。

それが、今回のフルモデルチェンジで登場したのは、少し背の高い5ドア ハッチバックと4ドア セダンのフェリオのみ。3ドア ハッチバックは設定されなかったのだ。歴代のシビックには「スーパーシビック」とか「ワンダーシビック」といった愛称が付けられているが、今回の7代目シビックは「スマートシビック」と謳われている。

ちなみに、3ドア ハッチバックはヨーロッパ仕様に、2ドア クーペが北米仕様に設定されるという。新型シビックはグローバルカーとして、仕向地によってボディバリエーションが違うのだった。

さて、あらためて新型シビックの実車を見ると、旧型(6代目)より全長は100mm以上長く、全高も120mm高いスタイルは、ひとクラス上のクルマになった印象だ。これをシビックと呼ぶには少し抵抗があるかもしれないが、慣れてしまえばこんなものかな、と思うようになるだろう。

だが、サイズがアップしたぶん室内は広く、しかもFFならではのフラットフロアを実現している。前後席ともフロア中央部にトンネルのような張り出しはなく、ほとんど真っ平らなのは感動モノだった。

画像: ダッシュボード中央の下部にATのシフトが備わるインパネシフトを採用。意外と扱いやすかった。

ダッシュボード中央の下部にATのシフトが備わるインパネシフトを採用。意外と扱いやすかった。

今回、試乗したのは1.5Lと1.7L、どちらも直4 SOHC16バルブのVTECエンジン搭載車。シビックのエンジンといえば、かつてのワンダーシビック(3代目)のSiから搭載されていた4バルブDOHCのZC型や、グランドシビック(4代目)のSiRから搭載されたDOHC VTECのB16A型のような高回転まで回るパワフルなユニットを想像してしまうが、性格はまったく異なる。

1.5Lはリーンバーン、1.7Lはシリーズの中では走りを追求しているが、どちらもトルク指向のエンジンだ。CVTは旧型のものよりかなり進化して、不自然さが少なくなった。VTECも効果的に作動して、どちらのエンジンも美味しい部分をCVTがうまく引きだしている、という印象だ。

今回の試乗ではワインディングロードをガンガン走る、といったシチュエーションはなかったが、ちょっとペースを上げてコーナーを曲がるような走りでもロールは素直で、しっかりとグリップして駆け抜けていく。残念なのは電動パワーステアリングの感触が今ひとつ不自然なことで、これは改善を望みたいことろ。ボディ剛性が高められているだけに、よけいに感じてしまったのかもしれない。

4ドアのフェリオも、基本的な乗り味は変わらない。日本仕様は、当面はこの2本立てで行くようだが、シビック=スポーツのイメージを持っているファンは少なくないはず。かつてのSiやSiRのようなモデルの復活を(できれば3ドア ハッチバックで)望みたいところだ。

画像: Cピラー部にもウインドーを備えた6ライトを採用。高めの車高のおかげで前後席とも乗り降りはしやすい。

Cピラー部にもウインドーを備えた6ライトを採用。高めの車高のおかげで前後席とも乗り降りはしやすい。

■ホンダ シビック X 主要諸元

全長×全幅×全高:4285×1695×1495mm
ホイールベース:2680mm
車重:1190kg
エンジン形式:直4・4バルブSOHC・横置きFF
排気量:1668cc
最高出力:130ps/6300rpm
最大トルク:155Nm(15.8kgm)/4800rpm
ミッション:CVT
タイヤ:185/60R15
当時の価格:164万8000円

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