2019年秋にマツダのSUVラインアップに加わったCX-30が売れているという。今やひとクラス上のCX-5の市場を脅かすほどの存在となっているというが、その強さの秘密はどこにあるのか。今回はCX-30とCX-5をじっくり比べてみることにしよう。

マツダの主力となったSUVラインアップ

2019年9月に発表されたマツダCX-30は、マツダ3に次ぐマツダの新世代商品群の第2弾となるCセグメントのSUV。ポジション的にはマツダCX-5とマツダCX-3の間に位置するが、実際にそのボディサイズを見ると、全長と全幅はCX-5とCX-3のちょうど中間、全高がCX-3よりもさらに低いのが特徴となる。全長4.4m以下、全幅1.8m以下、全高1.55m以下という開発陣の狙いが見える大きさだ。

CX-5:全長×全幅×全高=4545×1840×1690mm
CX-30:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
CX-3:全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm

CX-30は最新の「マツダ3」と基本コンポーネンツを共有する新世代モデルで、ホイールベースは70mm短縮されているが、エンジンやプラットフォームは共有で、進化した「魂動」デザインにも共通性が感じられる。

一方CX-5は、初代モデルが2012年12月に登場したDセグメントSUVで、マツダ躍進のきっかけとなる大ヒット作となった。2016年12月に第2世代へと進化した現行モデルも好調な販売を見せて、その後、認知支援技術「先進ライト」「車線逸脱警報システム」の標準装備、2.5L直4ディーゼルターボ「SKYACTIV-G 2.5T」、車両運転制御技術「G-ベクタリングコントロールプラス(GVCプラス)」など堅実な改良を行っている。

画像: 「マツダ CX-30 XD Lパッケージ」(上)と「マツダ CX-5 XDエクスクルーシブモード」(下)。CセグメントのCX-30は本来CX-4となるはずだが、中国市場向けにすでにCX-5のクーぺ版として「CX-4」が存在していることが影響したのだろう。マツダでは「すべての領域での質感を高めた、まったく新しいSUV」という意味を込めて、車名は数字の二桁にしたと説明する。

「マツダ CX-30 XD Lパッケージ」(上)と「マツダ CX-5 XDエクスクルーシブモード」(下)。CセグメントのCX-30は本来CX-4となるはずだが、中国市場向けにすでにCX-5のクーぺ版として「CX-4」が存在していることが影響したのだろう。マツダでは「すべての領域での質感を高めた、まったく新しいSUV」という意味を込めて、車名は数字の二桁にしたと説明する。

画像: マツダの主力となったSUVラインアップ

両モデルを比べると明確に性格分けがされており、CX-30がクロスオーバー的なSUVであるのに対し、CX-5が本格的なオフロード性能も有するSUVとかなり方向性は異なる。

CX-30がたっぷりとした室内空間を持つ最新世代の洗練されたSUVとして登場したことで、「CX-5はやや大柄」と感じていたユーザーを取り込む形となり、また「CX-3では室内が狭すぎる」と感じていたユーザーの興味を惹く存在となっているようだ。

エンジンはガソリンのSKYACTIV-Gは、CX-30が2Lの自然吸気なのに対して、CX-5は2L自然吸気(2WDのみ)と2.5L自然吸気、そしてハイパワーな2.5Lターボが選べる。ただし鳴り物入りのSKYACTIV-X(スカイアクティブX)が設定されているのはCX-30のみだ。

ディーゼルのSKYACTIV-Dについては、CX-30は1.8Lで、CX-5は2.2Lとなる。これは排気量が違うだけはなく、まったくの別物。2.2Lはバリアブルジオメトリーの2ステージターボチャージャーを搭載している。

足まわりは車両重量に応じて替えられている。CX-30のリアサスペンションはトーションビーム式だが、CX-5はコストのかかったマルチリンク式を採用している。しっかり感を出すためかCX-30がやや硬さを感じさせるのに対して、快適性ではCX-5のほうがやや上を行く印象だ。

スペースユーティリティに関しては、ボディサイズの大きなCX-5が有利なのは言うまでもないが、CX-30もホイールベースが2655mmあり、全高を立体駐車場に入るギリギリまで高めたことで、後席にも余裕が生まれているし、ラゲッジルームも430Lと十分な容量を確保している。

画像: マツダ車に共通する躍動感のある「魂動」デザイン。とくにCX-30は周囲の風景をダイナミックに映り込ませる大胆な形状のボディパネルが印象的。

マツダ車に共通する躍動感のある「魂動」デザイン。とくにCX-30は周囲の風景をダイナミックに映り込ませる大胆な形状のボディパネルが印象的。

先進安全運転支援装備については、CX-5も認知支援技術「先進ライト」「車線逸脱警報システム」を追加するなど進化しているが、後発のCX-30がやや優位。運転席ニーエアバッグ、後退時スマートブレーキサポート、自動ブレーキの対車両の上限速度拡大、夜間の自転車対応などで先行している。

車両価格は搭載エンジンや装備が異なるのでストレートに判断できないが、同じ2L自然吸気エンジンを搭載するモデルで比べると、価格差は20万円ちょっと。そう考えるとCX-5のほうがコストパフォーマンスに優れるように見えるが、そうとも言い切れないのが悩ましい。CX-5よりもボディが小さくても、それでかえって運転しやすく、走行性能や乗り心地に大きな違いがないのであれば、価格が安いCX-30のほうが合理的とも言える。

マツダ CX-30 XD Lパッケージ(4WD・6速AT) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm
●ホイールベース:2655mm
●車両重量:1530kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:1756cc
●最高出力:116ps/4000rpm
●最大トルク:270Nm/1600-2600rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション: ストラット/トーションビーム
●タイヤサイズ:215/55R18
●WLTCモード燃費:18.4km/L
●最小回転半径:5.3m
●ラゲッジルーム容量:430L
●車両価格:330万5500円

マツダ CX-5 XD エクスクルーシブモード(4WD・6速AT)主要諸元

●全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1690kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:2188cc
●最高出力:190ps/4500rpm
●最大トルク:450Nm/2000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション: ストラット/マルチリンク
●タイヤサイズ:225/55R19
●WLTCモード燃費:16.6km/L
●最小回転半径:5.5m
●ラゲッジルーム容量:505L
●車両価格:400万9500円

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