BMW3シリーズ、4シリーズのトップモデルとなる「M3&M4」の新型プロトタイプ試乗会がドイツのザクセンリンクで開催された。そのスペックは、走りはどんなものか。全貌に迫る。(Motor Magazine 2020年9月号より)

2020年秋に新型M3&M4をリリース予定

BMW M社は2019年のX3 M、X4 Mに続いて、2020年の秋には伝統的なセダンベースのM3、そして2ドアクーペのM4を相次いで発表する予定だ。そして今回、M社は我々ジャーナリストを旧東ドイツ地区だったザクセン州にあるサーキット「ザクセンリンク」に招待、プロトタイプのティザー試乗会を開催した。このサーキットは全長3.67km、14のコーナーがある高速コースである。

擬装状態で我々を待ち受けていたのはM3(G80)とM4(G82)で、比較のために現行型M4も用意されていた。M社の開発担当副社長、ディルク・ヘッカー氏によると、このM3は「コンペティション」で、搭載するのはエンジン型式S58型の直列6気筒ツインターボで排気量は2993cc、最高出力は510ps/6250rpm、最大トルクは600Nm/2600-5950rpmを発生する。

実は、X3 M、X4 Mが発表された時に、ひょっとするとセダン/クーペはもう少しパワーアップするかと期待したが、同じパワーに留めたのは、おそらく次に「CS」が控えているからだと思う。トランスミッションは8速ATで、この日の発表では0→100km/hはおよそ3.9秒、最高速度は280km/hとある。

用意されていたもう一台のM4(G82)はスタンダードで最高出力は480ps、最大トルクは600Nmを発生する。このモデルには6速MTが組み合わされており0→100km/hは4秒、最高速度は280km/hだ。

画像: M3コンペティションの走り。510psというパワーを活かして、ドリフトにもっていくこともたやすく、その時もコントローラブルだという。

M3コンペティションの走り。510psというパワーを活かして、ドリフトにもっていくこともたやすく、その時もコントローラブルだという。

エンジン&シャシが進化して速さと扱いやすさをバランス

まずはM4のハンドルを握り、やや緊張しながらコースへ進入する。軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで改めてS58エンジンの淀みない、鋭い回転の上昇にニヤリとしてしまう。前述のヘッカー氏は、「エンジンのクーリングとオイル潤滑回路はサーキットで開発、スポーツ走行もまったく問題ありません」と語る。

低速域から発生する十分なトルクでシフトアップするたびに体がシートに押しつけられる。また二系統のエキゾーストシステムから発生する低く金属的なエキゾーストサウンドは耳に心地いい。

ここはオメガのような形状を持った高速サーキットだが、貴重なプロトタイプゆえに速度は200km/h程度に抑え慎重に周回するが、この範囲では素直なステア特性と扱いやすいスポーティなハンドリングを示してくれた。

続いてM3コンペティションへ乗り換える。こちらはフロント275/35R19、そしてリア285/30R20サイズのタイヤを装着、そして金色のキャリパーを持ったオプションのカーボンセラミックディスクブレーキを装着していた。

新型M3そしてM4の開発はボディ形状にかかわらず、同じ基軸でのセッティングを目指しており、ボディ剛性を向上させ、パワーオンに対して、ステア操作でボディが即座に反応するように設計しているとヘッカー氏は開発意図を漏らす。

確かにその成果は各コーナーに入り、ハンドルを切るとリアは一瞬のためらいもなく追従してくることで体感できた。ややオーバーステアのような感じだが、ハンドルから路面情報が正確に伝わってくるので常にドライバーのコントロール下にあり、素早くコーナーをクリアして行く。これは明らかに一層固められたシャシの恩恵でもあるはずだ。

次期M3そしてM4は、社長のフラッシュ氏による「Mモデルは今後、その固有のスポーティネスを理解してくださる方に向けてリリースしてゆきます」というメッセージが具体化したものだった。すなわちこれまで以上にサーキットに近い印象である。というわけで残る「オンロードでの挙動」は9月以降の試乗会までお預けだ。日本市場での販売は、早ければ年内に間に合うかもしれない。(文:木村好宏)

画像: M3コンペティションに搭載されるS58型3L直6ツインターボエンジン。510ps/600Nmというハイパフォーマンスを誇る。

M3コンペティションに搭載されるS58型3L直6ツインターボエンジン。510ps/600Nmというハイパフォーマンスを誇る。

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