熱対策、タイヤマネージメントがポイントに
開幕戦こそ2台ともにリタイアに終わったレッドブル・ホンダだが、その後3戦は、3位、2位、2位と優勝を狙えるポジションまで調子を上げてきている。シルバーストンでの2戦目となる第5戦70周年記念GPでは、チームは1戦目での経験とデータをふまえて、さらに上を目指すことになる。
今週末のレースでは、第4戦イギリスGPでメルセデスAMGの2台とカルロス・サインツのマクラーレンに起きたタイヤアクシデントが、今週の各チームのレース戦略に大きな影響を与えるのは間違いないところ。ピレリが第4戦よりも一段と柔らかいタイヤコンパウンドを提供するから、なおさらだ。果たしてレッドブル・ホンダはライバルに対してどんな戦略をとるのか。
ただ、同じサーキットで2戦連続で戦うことは、さまざまな条件下で多くのテストを重ねることになるので、ここでマシンが大きく進歩することが期待できるし、レッドブル・ホンダにとっては優勝の可能性が高まったという見方もある。
ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「シルバーストンは、車体とパワーユニットのパッケージとしての実力が試される場所です。先週のレースでは、終盤に波乱が起こる展開の中、高速サーキットの難しさを実感するとともに、まずまずの戦いを見せられたことはポジティブにとらえています。 今週末のレースに向けては、前戦で得られたデータをもとにチームとともにさらなるパフォーマンスの改善に努めています。先週のいい流れを活かし、レースに臨みたいと思います。チャンピオンシップ全体を考えても、第5戦となるこのレースではしっかりとポイントを獲得していきたいところです」とコメント。
一方、メルセデスAMGのトト・ウォルフ代表は「シルバーストンでの最初のレースは苦いものでした。 49周目まではいい良い日でしたが、残りわずか数分で逆になりました。 バルテリ(ボッタス)は不運で、パンクしたタイヤで1周を完了しなければならなかったため、最終的にはポイントを逃しました。 ルイス(ハミルトン)はより幸運で、3輪走行でゴールラインにたどりつくことができました。バルテリは18ポイントを失いました。 短いシーズンで信頼性の問題が大きな損失につながると言ってきましたが、それが現実になりました。 また、速いことが必ずしもいい結果を残すわけではないことを思い出させてくれました。今週末は、より高い温度とより柔らかいコンパウンドでの真の挑戦となります。タイヤが柔らかいほどピットストップが多くなり、戦略のばらつきが増えるため、良い戦いが期待できます。 シルバーストンでの2回目のレースは、F1世界選手権の70周年記念でもあります。F1の物語に貢献したことを誇りに思い、今後も多くの素晴らしい物語を楽しみにしています」と語っている。
いよいよ、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGの一騎討ちとなっていくのか。第5戦開幕を前に、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは「先週とは異なるタイヤコンパウンドが戦略に影響を及ぼすので、先週とはかなり違った展開になると思います。メルセデスとの差は冷静に捉えていますが、プッシュし続けていきます」、アレキサンダー・アルボンは「シルバーストンは大好きなサーキットです。先週のレースで学んだことをフリー走行から活用していけると思います」とコメントしている。
F1第5戦70周年記念GPは、8月7日金曜日日本時間19時(現地時間11時)に幕を開け、いよいよ走り出す。予選は8月8日土曜日日本時間22時(現地時間14時)、決勝は8月9日日曜日日本時間22時10分(現地時間14時10分)に開始される。
フォーミュラ1世界選手権の最初のグランプリは、1950年5月13日、イギリス・シルバーストンサーキットで行われ、アルファロメオ、マセラティ、タルボなど24台が参戦。「アルファロメオ ティーポ158」に乗るジュゼッペ・ファリーナが記念すべきF1最初の優勝者として歴史に名前を残している。今週のグランプリはその最初のF1が開催されてから70周年を迎える記念イベントとして、聖地シルバーストンサーキットで開催される。
【参考】2020年 F1第4戦イギリスGP 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)52周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +5.856s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +18.474s
4位 3 D.リカルド(ルノー) +19.650s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) +22.277s
6位 31 E.オコン(ルノー) +26.937s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +31.188s
8位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +32.670s
9位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス) +37.311s
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) +41.857s
リタイア 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)