バルセロナはマシンの総合力が問われる難しいコース
前戦第5戦でのレッドブル・ホンダの勝利は見事だった。新型コロナウイルスの影響で変則的な開催となる中、レッドブル・ホンダ有利と言われた開幕戦で2台ともにリタイア。メルセデスAMGに開幕戦での優勝を許し、さらに開幕3連戦という過密スケジュールも影響したのか、その勢いを止めることができず、メルセデスAMGに開幕4連勝を決められてしまっていた。
しかし、第3戦、第4戦とマックス・フェルスタッペンが連続して2位に入賞するなど、メルセデスAMGとの差を徐々に詰めてもいた。
そうして迎えた第5戦では、フェルスタッペンが予選Q2をハードタイヤで通過することに成功(10台Q3進出中9番手)、決勝レースでは気温が上がりタイヤマネージメントに苦しむメルセデスAMGを横目に、ハードタイヤを中心としたタイヤ戦略を見事にやりきった。とくに、ハードタイヤを装着したフェルスタッペンがミディアムを履くメルセデスAMGに迫り、ピットストップでメルセデスAMG勢が新品のハードタイヤを装着しても、周回を重ねたタイヤで走るフェルスタッペンのほうが速いシーンは象徴的だった。
第5戦では間違いなく、レッドブル・ホンダは速かった。ただこれでレッドブル・ホンダがメルセデスAMGに追いついたとするのはまだ早い。王者メルセデスとはまだ差があるのは事実。それでも勝てない相手ではないことがわかったのは大きな収穫。レッドブル・ホンダのクルマがタイヤに優しいのは明らかで、とくに気温が上がると有利なこともわかってきた。
メルセデスAMGはダウンフォースを削って最高速を伸ばしているフシがあり、コーナーでタイヤに負担がかかっているのかもしれない。メルセデスAMGはかねてから熱対策の課題が指摘されており、今後は気温の上昇にも注目だ。
では第6戦スペインGPはどうか。グランプリの舞台はバルセロナ郊外に位置するカタロニア・サーキット。カレンダーの中でも有数のテクニカルコースで、長いストレートに、高速・中速・低速コーナーが複雑に組み合わされ、さらにアップダウンもあり、マシンの総合力が問われる設定だ。毎年ここから新しい空力パーツが導入されるなどエアロダイナミクスが重要視される一方で、タイヤに厳しいサーキットでもある。
レースではこのサーキット特有の不安定な風が重要なファクターとなることが多く、コース幅が狭く空力特性がシビアなためオーバーテイクが難しく、予選順位、スタートでの攻防がレースの勝敗を分ける大きなポイントとなる。また、例年は5月に行われるため気温は22度前後と涼しいものの、8月は気温が30度前後まで上がることから、これがレースに大きな影響を与えることになるだろう。ちなみに、ピレリタイヤがスペインGPに用意するタイヤは、もっともハードなC1〜C3の3種類となる。
昨年のスペインGPでは、予選2番手のルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が完璧なスタートダッシュを決め、その後もレースをコントロールして優勝。チームメイトのバルテリ・ボッタスも2位に入り、メルセデスAMGがシーズン開幕から連続の1-2フィニッシュ記録を5に伸ばした。レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは3位だった。
昨年のスペインGPを制したハミルトンはソフト→ミディアム→ソフトの2ストップを選択。ほとんどのドライバーが2ストッパーとなったが、今シーズンはラップタイムが1秒以上も速くなっている上、気温がかなり上がりそうで、タイヤへの負担は大きくなるため予断は許されない状況だ。
さて、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGの戦いはどうなるのか、どんなレース展開になるのか。第6戦スペインGPは8月14日11時(日本時間18時)から始まるフリー走行で開幕、予選は8月15日15時(日本時間22時)、決勝は8月16日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。
【参考】2019年F1第5戦スペインGP決勝
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 66周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+4. 074s
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+7.679s
4位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+9.167s
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+13.361s
6位 10 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ)+19.576s
7位 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ)+28.159s
8位 55 C.サインツJr. (マクラーレン・ルノー)+32.342s
9位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+33.056s
10位 8 R.グロージャン (ハース・フェラーリ)+34.641s