リアシートも取り払われた、2シーターのサーキット走行モデル
全長20km以上に及ぶサーキットであるニュルブルクリンク北コースで、ルノーがFF最速の座を争っていることはよく知られる。2008年にメガーヌII R.S. R26.Rで8分16秒90を記録して以降、ライバルとのタイム差を抜きつ抜かれつ徐々に縮めて、現在のメガーヌIV R.S.トロフィRは7分40秒100にまで到達。しかもルノーは2019年にホンダの聖地、鈴鹿サーキットに持ち込んで量産FF車のラップタイム新記録(当時)となる2分25秒454を樹立。最大のライバルであるホンダのシビックタイプRを牽制した形となっている。
これを達成したモデル「メガーヌR.S. トロフィR」は、日本でも2019年1月に限定51台の受注が開始されている。
5ドアハッチバックのメガーヌに1.8L直4ターボ(279ps/390Nm・6速DCT)や4輪操舵システム4コントロールなどルノースポールがチューニングを手がけたパーツを装着する「メガーヌR.S.」、そしてこれをベースにエンジンをよりハイパワー(300ps/400Nm・6速MT)にした「メガーヌR.S.トロフィ」、そこからさらに軽量化を施されたのが「メガーヌR.S. トロフィR(6速MT)」だ。
サーキットを速く走るために生まれたモデルで、軽量化は120kgにもおよんで車両重量1330kgとなる。後席は取り外されて5ドアの2シーターに、ボンネットやリアデフューザーなどのボディパーツはカーボンコンポジットに変更。またリアサイドウインドウは開閉できない固定式とするなど、そのストイックさは徹底されている。
極めつけはメガーヌシリーズのスポーツ性を象徴するとも言える四輪操舵の「4コントロール」を省略した点だ。このシステムは低速域のコーナーで後輪を逆位相に操舵することでノーズをイン側へグイグイとくい込ませ、逆に高速域では走行安定性に寄与するシステムだが、サーキット走行上級者にとって軽量化させることの方が重要ということのようだ。
もちろん軽量化だけでなく、専用にチューニングされたシャシとトルセンLSD、オーリンズ製の調整式ダンパー、ブリヂストン ポテンザS007タイヤなどで走行性能を向上。また、エアロダイナミクスとダウンフォースの最大化を求めて空力バランスの最適化が図られた、筋金入りのタイムアタッカーに仕上がっている。
このメガーヌR.S.トロフィRは先述のとおり51台が日本でも販売されるが、わずかに枠はまだ残っているという。そこでルノー・ジャポンは、袖ケ浦フォレストレースウェイ(千葉県・9月13日)とオートポリス(大分県・9月26日)、岡山国際サーキット(岡山県・9月30日)、青森スピードパーク(青森県・10月10日)のサーキット4カ所で体験試乗会を開催するという。車両解説の後に先導車をともなってサーキット走行を楽しめるという。申し込みはルノー正規販売店の店頭のみで行われ、8月21日からはじまっている。参加費として8000円かかるものの、サーキット向けに開発された車両を自身で運転できるまたとないチャンスと言える。
※ブレンボ製カーボンセラミックブレーキディスクやカーボンホイールなどを装着し、限定販売台数51台のうち4台に設定された「メガーヌR.S.トロフィーR カーボンセラミックパック」はすでに完売。