コンパクトSUVマーケットに新たな価値を提供
ヤリス クロスは、ヤリス シリーズならではの「軽快な走り」「先進の安全・安心技術」「低燃費」を受け継いだ、都市型コンパクトSUVだ。開発はヨーロッパで進められ、2020年のジュネーブ モーターショーで発表される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のためショーが中止となり、4月にオンラインで発表された。ヤリス クロスは日本とフランスで生産され、ヨーロッパでも販売される。
ヤリスとデザインエレメンツは共有しているが、サイズ的にはひとまわり大きくなっている。「ENERGETIC SMART」をキーワードに、アクティブで洗練されたバランスの良いプロポーションを追求したという。フロントビューは立体構成で精悍な印象。サイドビューは水平基調の軸で力強く、リアビューはスクエア形状の中央部と大開口のバックドアが機能性の高さを追求している。
インテリアは、ヤリスと基本的に同じデザインだ。フードレスタイプのメーター、センターダッシュ上のディスプレイオーディオ、さらにヘッドアップディスプレイも採用し、ドライバーの視線移動を最小限にして運転に集中できるインテリアを実現している。
ラゲッジスペースには高さが変えられるデッキボードを備え、下段にセットすればフル乗車時でも390LとコンパクトSUVトップクラスの荷室容量を誇る。リアシートバックは4:2:4の3分割可倒式、デッキボードも6:4分割式なので、ラゲッジスペースの使い勝手は高い。上級グレードにはハンズフリーバックドアも設定している。
パワートレーンは、1.5Lの直3ダイナミックフォースエンジンと、それにリダクション機能付きのTHS-IIを組み合わせたハイブリッドの2種を搭載。トランスミッションは、エンジン車はダイレクトシフトCVT、ハイブリッド車は電気式無段変速を組み合わせる。駆動方式は、いずれもFFと4WDを設定し、ハイブリッドの4WDはE-Fourとなる。
安全・安心技術では、最新の予防安全パッケージ「トヨタ セーフティセンス」を最廉価グレード以外に標準装備。高度運転支援の「トヨタ チームメイト(アドバンスパーク)」も設定している。快適装備では、ディスプレイオーディオとDCM(車載通信機)を全グレードに標準装備し、スマートフォンとの連携を可能にしている。
グレードと車両価格(税込)は、以下のとおり。
■ヤリス クロス グレード&価格
●エンジン車
X Bパッケージ(2WD/4WD):179万8000円/202万9000円
X (2WD/4WD):189万6000円/212万7000円
G (2WD/4WD):202万円/225万1000円
Z (2WD/4WD):221万円/244万1000円
●ハイブリッド車
X (2WD/4WD):228万4000円/251万5000円
G (2WD/4WD):239万4000円/262万5000円
Z (2WD/4WD):258万4000円/281万5000円
月間販売目標台数は4100台とされているが、この数字はデビュー当初は問題なくクリアしてしまうのではないだろうか。コンパクトSUV市場は、このヤリス クロスの登場によって、より一層の激戦区となることは間違いないだろう。
ヤリスクロス ハイブリッド Z(2WD) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4180×1765×1590mm
●ホイールベース:2560mm
●重量:1190kg
●パワーユニット種類:直3 DOHC+モーター
●排気量:1490cc
●エンジン最高出力:67kW<91ps>/5500rpm
●エンジン最大トルク:120Nm<12.2kgm>/3800ー4800rpm
●モーター最高出力:59kW<80ps>
●モーター最大トルク:141Nm<14.4kgm>
●トランスミッション:電気式無段変速機
●WLTCモード燃費:27.8km/L
●タイヤサイズ:215/50R18
●税込み車両価格:258万4000円