今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ボルボ V70」だ。

ボルボ V70(2001年)

画像: ホイールはスチール製でフルカバーが付く以外、外観上は上級グレードとの違いはない。アクセサリーパーツは豊富に用意されている。

ホイールはスチール製でフルカバーが付く以外、外観上は上級グレードとの違いはない。アクセサリーパーツは豊富に用意されている。

昨年(編集部註:2000年)もっとも売れたインポートワゴンのブランドはボルボ、モデルではV70(V40も4位)だった。その人気の秘密は、ベーシックグレードに乗ればわかる。上級グレードと変わらないクオリティが、きちんと保たれているのだ。

先代から大きく変わった新型ボルボ V70シリーズが日本に導入されて、早くも1年になろうとしている。その人気は新型になっても衰えることはなく、街中ではかなりその姿を見かけるようになった。そんなV70シリーズのベーシックグレードながら、けっして「廉価モデル」などと感じさせないのが、今回紹介するV70(特にグレード名はない)だ。

V70と上級グレードのV70 2.4のエンジンの違いは、マネージメントシステムだけだ。エンジン本体にまったく変わりはない。つまり「コンピュータ デチューン」によって最高出力は30ps、最大トルクは1.1kgmほどパワースペックが下げられている。だが、その分パーツへの負荷は低くなるわけだから、信頼性は高まるだろう。それでも、2000〜4000rpmの実用域でのトルク特性はほぼ同じで、20kgm以上のトルク値を発生している。

画像: エンジンマネージメントの変更のみでデチューンされた2.5Lの直5 DOHC。5速ATとの相性も良く、パワー的には必要十分だ。

エンジンマネージメントの変更のみでデチューンされた2.5Lの直5 DOHC。5速ATとの相性も良く、パワー的には必要十分だ。

今回の試乗コースは市街地とハイウエイのみで、ワインディングを走るような機会はなかったのだが、こうしたシチュエーションではV70の走りには上級グレードと比べてまったく不満は感じられなかった。市街地でのゴー&ストップ、高速でのクルージングでは特にパワー不足も感じない。追い越し加速時に4500rpm以上回すと少しタルさを感じるが、そんな機会はそうそうはないだろう。

「長さが世界一短い」と称される5速ATとの相性もいい。5速100km/hのエンジン回転数は約2200rpm。これくらいの速度域では風切り音も小さく、オーディオやパッセンジャーとの会話を楽しみながら快適なハイウエイクルーズができる。直進安定性もいい。前後席とも乗り心地は良く、特にリアシートは大人3人でもキツくはない。気になる点は、1.8mを超える全幅と小回りが利かないことによる街中での取りまわしくらいだろうか。

内外装でも、アルミホイールやセンターコンソールのアームレストなどが省略されているが、サイド&カーテンエアバッグなどの安全装備は標準で備わっているし、ワゴンとしての使い勝手には違いはまったくない。特に今回の試乗車は、V70にのみ設定されたレザーパッケージ(本革シート、運転席パワーシート、本革巻きステアリングのセットで20万円高)を装着していたので、バリュー for マネーは高い。

パワー的にもまずまず、装備も十分、しかも価格的にはお買い得。子供の送り迎えやショッピングなど、シティユースの多いヤングミセスには格好のアイテムといえるだろう。V70人気は、まだまだ続きそうだ。

画像: 旧型のV70より全長は10mm短くなったが全幅は55mm広がった。1.8mを超える全幅と5.6mの最小回転半径は、街中では少し気になる。

旧型のV70より全長は10mm短くなったが全幅は55mm広がった。1.8mを超える全幅と5.6mの最小回転半径は、街中では少し気になる。

■ボルボ V70 主要諸元

●全長×全幅×全高:4710×1815×1470mm
●ホイールベース:2755mm
●車両重量:1560kg
●エンジン形式:直5・DOHC・横置きFF
●排気量:2434cc
●最高出力:103kW(140ps)/4500rpm
●最大トルク:220Nm(22.4kgm)/3750rpm
●トランスミッション:5速AT
●タイヤ:195/65R15
●車両価格(当時):400万円(レザーパッケージは+20万円)

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