1969年10月に登場し、世界に衝撃を与えた初代S30・フェアレディZ。2019-2020年で50周年を迎えるなか、2020年9月16日にオンラインで次期型フェアレディZプロトタイプが公開された。すでにメーカーによる画像は先のニュースでお届けしているが、ここでは速報として同日午後に行われたプレス内覧会での実車画像と合わせて紹介。さらにZ32チーフデザイナー・山下敏男氏に新型のデザインについて聞いた。

フェアレディZに込めた内田社長兼CEOの熱い想い

画像: オンラインによるライブミーティングの冒頭で、Zプロトの運転席から降りて登壇した内田社長兼CEO。自身のかつての愛車であるZ32の写真も掲示した。

オンラインによるライブミーティングの冒頭で、Zプロトの運転席から降りて登壇した内田社長兼CEO。自身のかつての愛車であるZ32の写真も掲示した。

2008年12月に発表された現行Z34型フェアレディZから12年。ついに次期型Zのプロトがお披露目された。9月16日午前のオンラインによってライブ中継されたセレモニーでは、冒頭に内田社長兼CEOによるスピーチが約12分にわたって行われた。

その中で内田氏は「Zは現在進めている事業構造改革のNISSAN NEXTのとても重要なモデル」とし、「Zは日産のDNA情熱そのもの」と熱く語った。

これは経営者によるZカーファンへの単なるサービストークではない。その証拠に、現在52歳である内田氏はスピーチの冒頭でこう語った。
「自身初のクルマがZでした。ひと目惚れでした。あまりのカッコよさに引き寄せられ、走らせてみて絶体手に入れてやるぞ! と決めました。そしてついに1993年、当時の私には大きな買い物でしたが、ガンメタのZ32のTバールーフを手に入れました。もちろんマニュアルトランスミッション。洗車するたびにいろんな角度から眺めていました」

そして「そのZの次期型プロトタイプをこの場で発表できる誇りを感じています」と述べたあと、先の「Zは日産のDNA情熱そのもの」と続けたのだ。

画像: 長いノーズから続くルーフラインの先に垂直に切り立つテールエンドと、フロントフェンダーよりもわずかに低く、なだらかに傾斜するリアのデザインによって、S30型がもつ特徴的なサイドシルエットを表現。

長いノーズから続くルーフラインの先に垂直に切り立つテールエンドと、フロントフェンダーよりもわずかに低く、なだらかに傾斜するリアのデザインによって、S30型がもつ特徴的なサイドシルエットを表現。

さらに内田氏はZプロトについてこう語った。
「私たち日産は今、Zを次のレベルに引き上げます。このプロトタイプはコンセプトカーではありません。デザインはほぼ完成しました。ご覧のとおりZらしさに溢れています。そしてエンジニアたちは今、ドライバーとクルマの一体感を、Zならではと言える完璧なものへと作り込んでいます。フェアレディZ プロトタイプは伝統に忠実であることを大切にしました。これまでにZを所有し、そのドライビングを楽しんでこられたお客様の期待に応えたい。一方で、新しい世代のお客様、たとえば、オンラインゲームでZのレースに夢中になっている皆さんにもぜひリアルなZを楽しんでもらいたい」

「Zはいつの時代も手の届くスポーツカーであり、最高の体験を求めるドライバーが意のままに操ることができるスポーツカーです。V6ツインターボエンジン、6速マニュアルトランスミッション、クルマと一体になって走りたい。そんな皆さまのために用意しました」

デザインには初代S30や4代目Z32をイメージさせる意匠を盛り込まれ、レトロモダンなデザインやZらしさを表現したサイドシルエットなど、歴代Zのヘリテージを織り込んだ部分は多々見受けられる。

内田氏のスピーチに続く、デザイン部門の専務執行役員であうアルフォンソ氏やエグゼクティブデザイナーの田井氏、そしてCPS(商品企画の長)である田村氏によるトークライブでも、盛んに「Zらしさ」という言葉が登場した。このZプロトが「なつかしくも新しい」もしくは「新しくもなつかしい」というテイストを帯びているのは間違いない。

ZプロトをZ32チーフデザイナー・山下氏が語る

画像: 山下敏男 氏 1949年生まれ。福岡県出身。1968年入社。ショーカーのデザインなどを経て430セドリック、初代バイオレットをなどを担当。Z31のデザインが始まった頃、アメリカのNDIへ出向。帰国後、1985年から園 勲夫のもとでZ32の先行デザインを開始、その後チーフデザイナーに就任して全体を取りまとめた。写真は2020年9月、ミスターKオフィスにて

山下敏男 氏 1949年生まれ。福岡県出身。1968年入社。ショーカーのデザインなどを経て430セドリック、初代バイオレットをなどを担当。Z31のデザインが始まった頃、アメリカのNDIへ出向。帰国後、1985年から園 勲夫のもとでZ32の先行デザインを開始、その後チーフデザイナーに就任して全体を取りまとめた。写真は2020年9月、ミスターKオフィスにて

内田氏のスピーチにあるように、ファレディZプロトはすでにほぼ完成の域にある。生産車一歩手前のデザイン段階で、役員承認なども終えたという。このプロトを、同日午前中のオンラインライブで一緒に視聴した元・Z32チーフデザイナーである山下敏男氏に訊いてみた。

「デザインは確かに最終のものですね。鉄板(シートメタル)の部分はもう変わることはない。シートメタルの完成度に比べて、樹脂部の完成度が低く見えるので、恐らくですが樹脂部はさらにリファインされると思います。ピラーやサイドスカートの黒塗りとかもまだ変わる可能性はあるかな」(山下氏)

全体の意匠について、率直にどうかと聞くと、
「Z-ness、Zらしさというのは、ある程度表現できているんじゃないかな。丸いパッチリした目というかヘッドランプは色々考えた挙げ句に、よくまとめたという感じ。ただ、個人的には、S30のようなシュガースクープ(スプーンでえぐったような形状)の方が良かった。フロントに勢いが出ると思う。反面、テール全体をより締まった感じにするために、テールランプはパーツをもう少し大きくというか太くした方が良いように思いますね」(山下氏)

画像: リアのデザインは、S30やZ32などいくつかの歴代Zが持つテールランプからインスピレーションを得たデザインテーマを現代風にアレンジ。ハイテクで先進的な光の演出を見せる。

リアのデザインは、S30やZ32などいくつかの歴代Zが持つテールランプからインスピレーションを得たデザインテーマを現代風にアレンジ。ハイテクで先進的な光の演出を見せる。

Z32をモチーフにしたテールデザインについて尋ねると、
「Z32のテールは、初代S30の上下分割の意匠を当時の現代的解釈でモチーフとしたものなので、その意味では、このZプロトのテールのまとめ方もZらしさという点で、ヘリテージを受け継いでいますね」

「ただ思うのは、Z32で意識した全体のイメージはワンモーションというか、カタマリ感のあるリアが高くて、フロントが低いフォルム。対して、このZプロトは全体に平行に見えて、おとなしい印象です。これは、どっちが良い・悪いというものではなくて、最近の世界的なトレンドの「キレイなラインで構成する」流れなのでしょう。カタナという言葉をよく使っていましたが、確かに日本刀の持つ、スッとした美しいラインの感じはあります。ロングノーズに見えますしね。ただ、黒塗りのルーフやピラーはどうかなどうかな? と言う気もしますが」(山下氏)

山下氏は実車を見ていないので、寸評はこれにて控えるが、次回は山下氏にZプロトのデザインについて改めてコメントをいただこうと思うので、今後にご期待ください。

なお、このZプロトは世界に1台しかなく、10月にアメリカへ送られる模様。実車は10月4日まで、横浜みなとみらいにある「NISSAN PAVILION」にて展示される。興味のあるひとは、日産のHPでスケジュールをチェックしてみてはどうだろうか。(文:森田浩一郎)

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