2020年9月25日金曜日日本時間17時(現地11時)、F1第10戦ロシアGPがソチ・オートドロームで幕を開ける。このところ好調なホンダ勢ではあるが、エース格のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2戦連続リタイアに終わるなど、もどかしい状態が続いている。トスカーナGPから中1週、ホンダ勢はロシアGPをどう戦うのか。フリー走行を控えた直前情報をお送りしよう。

長いストレートとそれに続く高速のターン3の攻防が見所

このところ、ホンダのパワーユニット勢の中で明暗が分かれる展開となっている。第8戦イタリアGPではアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが優勝するものの、レッドブル・ホンダの2台はノーポイント。第9戦トスカーナGPではレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンが自身初めて表彰台に上がったが、今度はマックス・フェルスタッペンとガスリーがスタート直後の混乱の中でリタイアを喫するなど、手放しでは喜べない状況が続いている。

パワーユニットの調子はいいのに、メルセデスAMGの牙城を崩しきれない、なんとももどかしい展開の中、後半戦の緒戦となる今週のロシアGPはひとつの大きなポイントとなる。このところ、メルセデスAMGとのラップタイム差を詰めてきているが、ここでさらなる飛躍があればシリーズの行方は俄然おもしろくなってくる。

画像: ロシアGPが開催されるソチ・オートドロームのコース図。長いストレート、高速コーナー、連続する90度コーナーなど、独特のレイアウト。

ロシアGPが開催されるソチ・オートドロームのコース図。長いストレート、高速コーナー、連続する90度コーナーなど、独特のレイアウト。

ロシアGPが開催されるソチは、欧州に近い黒海沿岸に位置するロシア有数のリゾート地で、冬季五輪でメイン会場となったエリアを利用してヘルマン・ティルケ氏が設計した半市街地コースがグランプリの舞台となる。

ではロシアGPの勝負のポイントはどこにあるのか。ホンダ勢はどう戦おうとしているのか。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、ロシアGPについて「舞台となるソチ・オートドロームは、ここまで3戦続いたスパ、モンツァ、ムジェロのような伝統的な高速サーキットとは大きく異なるタイプのトラックです。コースの一部に公道を使用してレイアウトされており、セクター2では中速の90度コーナーが連続し、最終セクターは低速コーナーで構成されています。一方、最終コーナーからターン1まではカレンダー中でも最長の全開区間の1つで、エキサイティングなバトルも期待されます。さらに、高速でロングコーナーのターン3では、スロットル全開となり、加速し続けながらクリアしなければなりません。オーバーテイクが難しいサーキットであるため予選が重要になります。パワーユニットのパフォーマンスを最大限に引き出し、リタイアすることがないよう十分な準備をして臨みたいと思います。クビアト選手にとっては母国グランプリになりますので、いいレースにしてもらいたいとも思っています」とコメント。各ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: 前戦トスカーナGPでは予選で好調だったものの、悔しいリタイアに終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。いろいろなことが複雑に絡んで発生したトラブルだったという。

前戦トスカーナGPでは予選で好調だったものの、悔しいリタイアに終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。いろいろなことが複雑に絡んで発生したトラブルだったという。

「シーズン後半戦に入り、今季初めて連戦ではないロシアGPです。ムジェロでは1ラップもできずに終わっただけに、僕はレースに戻るのを楽しみにしています。表彰台以上の結果が出せるチャンスだと思っていたので、あのような形でレースウイークを終えるのはいいことではありませんが、過ぎたことは仕方がないです。もちろん、チームとは起こった問題について話し合いましたし、僕らは全員が同じ方向を向いて1つ1つのレースで可能な限り上を目指して戦っています。ソチのコースは独特で、長いストレートもあって、ほとんどが90度コーナーというのもあまり見ない形です。セットアップを正しくつかむことが必要で、特にストレート手前の低速コーナーでは脱出速度を高めないといけません。また、オーバーテイクのしやすいコースでもないのですが、今週末はあまりオーバーテイクをせずに済むようにして、いい結果を出せればと思います」

アレクサンダー・アルボン

画像: 前戦トスカーナGPで自身初めてF1初表彰台に上がったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。

前戦トスカーナGPで自身初めてF1初表彰台に上がったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。

「ムジェロでのF1初表彰台は心からうれしくて、サポートしてくれたチームには本当に感謝しています。彼らは成果に値するだけの仕事をしてくれましたし、僕自身もそれにふさわしい走りができたと思います。表彰台にタイ国旗が飾れたことを誇りに思います。ソチはかなり独特なコースで、似たようなコーナーが多いので、1つでうまくいけばコースの大半で強さを発揮できますが、最終セクターはかなりテクニカルなのにグリップが低いので、特にプッシュしているラップではホイールスピンに気を付ける必要があります。ただ、ほかのマシンを追いかけ回せるので、レースをするにはいいコースだと思います。ムジェロではメルセデスとの予選の差は縮まったように見えました。今後はダウンフォースの増えるサーキットになるので、僕らの競争力はさらに増すと思います。メルセデスがベンチマークになっていますが、そこに追いつくことが目標です」

ピエール・ガスリー

画像: イタリアGPの優勝から一転、トスカーナGPでは不運に見舞われたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。ロシアで真価が問われる。

イタリアGPの優勝から一転、トスカーナGPでは不運に見舞われたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。ロシアで真価が問われる。

「モンツァでの勝利の後、短い期間に全く違うことが起こるということが分かったのがムジェロのレースでした。フリー走行は今シーズンで1番よかったですし、金曜も土曜も速さがあり土曜の午前のフリー走行でも5番手タイムでした。ただ、その後の予選で問題を抱え、ポジションを上げられると思って迎えたレースも、最初のコーナーで終わってしまいました。何かを起こすチャンスがあると思っていただけに残念ですが、それもまたレースです。ソチはここ数戦とは全く異なる特性を持っていて、モンツァやムジェロと比べると低速のトラックになります。4速か5速で走行する90度コーナーが続いた後の最終セクターはさらに低速になっていて、全体的にストリートサーキットに似ています。おもしろいレイアウトですが、ここでどれだけの競争力があるかを今の時点で判断することは難しいです。ただコンスタントに改善し、安定していいパフォーマンスを見せられるようになってきています。中団では0.3秒の差が大きな違いになるので、すべてを正しく行う必要があります」

ダニール・クビアト

画像: 母国GPを迎えるダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。表彰台を獲得する順番か。

母国GPを迎えるダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。表彰台を獲得する順番か。

「ムジェロは簡単なレースではありませんでしたが、トラブルなくレースをまとめられました。僕らはチームでかなりうまくやれたと思いますし、その結果多くのポイントを獲得することができました。ここ数戦、マシンは進化を続け、競争力を増しているように感じています。いよいよ、ホームレースです。ソチでのレースではいつも特別な思いで臨むので、もちろん今週末もワクワクした気分で迎えます。中速コーナーが中心のサーキットですが、最終セクターには低速区間もあり、ダウンフォースのバランスを探らなければなりません。ターン3はとても長くて、長い時間ステアリングを切り続けなければなりませんが、予選でドライなら全開で抜けられます。正しいバランスが見つかればハッピーに過ごせます。タイヤのデグラデーションが小さいので1ストップのレースかと思われるかもしれませんが、かなり柔らかいコンパウンドで走るので、注意が必要です」

第10戦ロシアGPは9月25日の日本時間17時(現地時間11時)から始まるフリー走行で開幕、予選は9月26日21時(現地時間15時)、決勝は9月27日20時10分(現地時間14時10分)に開始される。

【参考】2020年第9戦トスカーナGP 決勝 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)59周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+4.880
3位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+8.064s
4位 3 D.リカルド(ルノー)+10.417s
5位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+15.650s
6位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+18.883s
7位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+21.756s
8位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+28.345s
9位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+29.770s
10位 10 S.ヴェッテル(フェラーリ)+29.983s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
リタイア 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)

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