「緊急対応」「人道支援」「強靱性」が名前の由来に
日産の100%電気自動車、リーフ テクナ(欧州仕様)をベースにした災害復旧支援コンセプトカー「RE-LEAF(リ・リーフ)」は、災害対策における緊急対応(emergency REsponse)、人道支援(humanitarian REcovery)、そしてコミュニティの強靭性(REsilience)の3つの「RE」を由来として名付けられた。「救助」や野球の「救援投手」を意味する「リリーフ(relief)」にも、掛け合わせているようだ。
車両の製作は、イギリスを拠点とするエンジニアリングおよびモータースポーツ会社のRJNが行い、プロジェクト管理はGTA Global Ltd.が担当している。
リ・リーフには瓦礫など障害物の多い災害時の悪路走行を可能とする改良を加え、簡単に電気を取り出せるよう、クルマのフェンダー部分に耐候性の高い電気ソケットを取り付け、搭載する大容量リチウムイオンバッテリーから110~230Vの電気機器へ電力の供給を可能としている。高められた悪路走破性により、被災地域を自由に移動し、復旧作業に必要な照明や作業ツールの電源としてだけでなく、通信や冷暖房など、被災者たちが必要とする機器に電力を供給するというコンセプトだ。
自然災害は多くの停電をもたらす。2000〜2017年に発生した停電のうち、ヨーロッパでは37%が、米国では44%が自然災害と気候変動に因るものとされている。災害が発生すると電力復旧までには約24〜48時間かかると言われ、その間に電気自動車は排出ガスを出さない非常用電源として活用することができる。
実際、日本では2011年から自然災害による停電時の非常用電源や移動手段として、リーフが活用されている。そして2018年より「ブルー・スイッチ活動」を開始し、現在、国内の60を超える地方自治体と「災害連携協定」を締結し、災害の復旧支援のために電気自動車を活用するプログラムを進めている。
さて、リ・リーフの詳細だが、車体にあしらわれた琥珀色(アンバー)のアクセントは、古代ギリシャ語で「electron(電子)」の意味をもつ「琥珀」にちなんだもの。瓦礫や障害物のある悪路走行を可能とするために最低地上高を225mmに引き上げ、専用のアンダーガードで車の床下を保護している。また、17インチのオールテレインタイヤと専用のオーバーフェンダーを装着。さらにルーフに取り付けられたLEDライトバーを琥珀色に点滅させて、車両の接近を歩行者などに知らせる。
さらに、簡単に電気を取り出せるようフロントフェンダーに2つの耐候性外部コネクター、トランクには3つのコンセントを装備。また、災害復旧支援活動に必要な機器を収納できるよう後部座席を取り外し、前部座席とラゲッジスペースをケージで分離した。ラゲッジスペースには32インチのモニターと引き出し式デスクおよび通信機器を装備して、被災地における復旧支援活動をサポートする。
■リ・リーフ 仕様
●ベースモデル:日産 リーフ テクナ(欧州仕様)
●タイヤ:BFグッドリッチ バハ オールテレイン 225/65R17
●ホイール:コンポモーティブ MO5 8×17
●ホイールアーチ:カスタム GRP コンポジット 40mmワイドアーチ
●最低地上高:225mm
●全幅(前/後):1830mm/1890mm