今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「オペル アストラ カブリオ」だ。

オペル アストラ カブリオ(2002年)

画像: トップは車内にスッキリと収まるので、伸びやかなサイドのシルエットが美しい。ドアの後ろにはベルトーネのエンブレムが備わる。

トップは車内にスッキリと収まるので、伸びやかなサイドのシルエットが美しい。ドアの後ろにはベルトーネのエンブレムが備わる。

ハッチバック、セダン、ワゴン、ミニバン(ザフィーラ)、そしてクーペと、豊富なボディバリエーションを誇るオペル アストラ。最後の切り札として、クーペをベースにしたカブリオが日本に導入され、アストラのラインアップが完成した。

アストラ カブリオは、アストラ クーペと同様にイタリアのカロッツェリア、ベルトーネ社で製造される。ベルトーネが手がけるオペルのカブリオは、カデット(1987年)、初代アストラ(1993年)に続く3台目となる。

ハッチバックがベースだった先代2モデルに比べ、クーペをベースとした伸びやかなサイドビューはなかなか美しい。これは日本市場でライバルとなるゴルフやプジョー 206CCなどに対しても、大きなアドバンテージとなるだろう。コンパクトさも重要だが、この手のスペシャルティでは多少余裕のあるサイズで美しさを求めることも重要なのだ。

電動ソフトトップは全自動で、ルーフ前端のロック解除などもなくセンターダッシュ上のスイッチひとつで、約30秒で開閉が可能だ。しかも、車外からリモコン操作でも開閉できる! キーホルダー式リモコンのボタンを押し続けると、車内からの操作と変わらない時間で開閉する。

画像: ステアリングの握りはかなり太め。センターダッシュ下(灰皿の上)に、ソフトトップと全サイドウインドーの開閉スイッチが備わる。

ステアリングの握りはかなり太め。センターダッシュ下(灰皿の上)に、ソフトトップと全サイドウインドーの開閉スイッチが備わる。

インテリアは、オーディオ以外はクーペとほぼ同じ。シートはヒーター付きの本革で、2トーン本革巻きステアリング、ホワイトメーターなどでスタイリッシュに仕立てられている。オートエアコン(オープン時はマニュアル式)や4エアバッグをはじめ、安全&快適装備は十分なレベルにある。

搭載されるパワーユニットもクーペと同じ、2.2LのエコテックDOHC。スペックもまったく変わらない。オープン化に伴い車両重量は100kgほど増しているが、147psと20.7kgmのパワー&トルクで低速域から滑らかに加速し、重量増のハンデを感じさせない。トラクションコントロールも標準装備。足まわりの形式もクーペと同じだが、サスペンションやスタビライザーはソフトなものが採用されている。適度に締まって硬すぎないセッティングのおかげで、けっこう乗り心地はいい。クローズドをベースにオープン化したモデルとしては、オープン時のボディ剛性は高い方だろう。

取り外し式のウインドディフレクターは、オープン走行時に風の巻き込みをかなり防いでくれる。ただし、これを装着するとリアシートは使えなくなるから、やはりオープンエアはカップルで楽しむしかなさそうだ。トランク容量は330Lあり、リアシート中央部はトランクスルー機構付きだから、その気になればスキー旅行にだって行ける。

ライバルと比べても、価格は抑えめで走りに余裕のエンジンを搭載。気になるクーペとの価格差は46万円だから、この金額が出せるなら、クーペよりカブリオの方がオススメだ。走りに遜色はなく、リアウインドーはガラス製だからクローズドでも視界は悪くないし、ソフトトップの耐候性は高い。後席に大人を乗せる機会が少ないのなら、これ1台で過ごすことも十分に可能だろう。

画像: 電動ソフトトップはBMWのカブリオなどと同じドイツのEdscha社製。リアウインドーはガラス製で熱線入りだ。

電動ソフトトップはBMWのカブリオなどと同じドイツのEdscha社製。リアウインドーはガラス製で熱線入りだ。

■オペル アストラ カブリオ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4270×1710×1400mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1400kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:2198cc
●最高出力:108kW(147ps)/5800rpm
●最大トルク:203Nm(20.7kgm)/4000rpm
●トランスミッション:電子制御4速AT
●タイヤ:205/50R16
●車両価格(当時):339万円

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