チャンピオン争いを展開する中での突然の発表
ホンダは、世界最高峰の四輪レースであるF1において、パワーユニットサプライヤーとして、2015年から第4期めとなるチャレンジを開始。参戦当初は厳しい戦いが続いたものの、航空機エンジン技術の活用など、ホンダの技術力を結集して高い競争力を実現してきた。
実際にグランプリでも、レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリとのパートナーシップのもと、2019年シーズンは3勝、2020年シーズンもこれまでにすでに2勝を挙げるなど、大きな成果をあげつつあった。
一方、自動車業界が100年に一度の大転換期に直面する中、ホンダは重要課題である環境への取り組みとして、燃料電池車(FCV)・バッテリーEV(BEV)など、将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発を進め、今年4月に「先進パワーユニット・エネルギー研究所」も設立している。
今後は、F1で培ったエネルギーマネジメント技術や燃料技術、そして 研究開発の人材を パワーユニット・エネルギー領域に投入し、将来のカーボンニュートラル実現に集中し取り組んでいくために、今回、2021年シーズンをもってF1への参戦を終了することになった。
もちろん、この決定によりチャレンジを止めるわけではなく、2021年シーズン終了までレッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリともにさらなる勝利を目指していく。今シーズン2020年シーズンもまだチャンピオンの可能性も残しており、さらに来年への期待も高まる。
本田技研工業株式会社 八郷隆弘代表取締役社長 のコメント
「ホンダはF1で自らの持てるエネルギーマネジメント技術をもって勝利することを目指し、2015年からチャレンジを開始し、今年で6年目のシーズンを迎えています。参戦当初は性能や信頼性で苦戦し、厳しい戦いが続きましたが、航空機エンジンの技術を生かした性能向上や、量産技術を活用したエンジンの燃焼効率向上など、オールホンダの総合力を発揮することで競争力を大幅に高めることができました。
また、2018年からスクーデリア・アルファタウリ、2019年からはレッドブル・レーシングも加わり、素晴らしいチームに恵まれました。当時、スクーデリア・トロロッソだったアルファタウリのメンバーは、ホンダの可能性を信じて契約をしていただき、その後も全力でホンダをサポートいただきながら、二人三脚で共に進化を続けてきました。先日のイタリアグランプリでのアルファタウリ・ホンダとして初めての優勝は両社がチャレンジを始めて50戦目の節目でした。これまでの努力が実を結んだ結果であり、ホンダとして言葉にはできないほどの嬉しさでした。両チームには、改めて、感謝したいと思います。また、参戦決定以来、さまざまなサポートをいただいたFIA、フォーミュラ・ワンの皆さま、関係者の方々のご支援に御礼を申し上げます。そして、何よりも熱いご声援をいただいている多くのファンの皆さまに感謝いたします。本当にありがとうございます。
将来、カーボンニュートラルを実現するために、今回、大きく舵を切り、この新たなパワーユニットとエネルギーの研究開発に経営資源を集中していきます。
ホンダは、創業以来モータースポーツへの挑戦を通じて技術の進化と技術者の育成、そして、勝利を目指す熱い情熱を育んできました。レース活動はホンダのDNAです。これからも熱い想いを持って参戦しているカテゴリーでのNo.1を目指し、チャレンジすることに変わりはありません。ファンの皆さまのご期待に応えるべく、今シーズンの残り7戦。そして、2021年シーズンに向けては、よりパフォーマンスを高めた新しいパワーユニットも投入し、レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリとともに、さらなる勝利を目指して最後まで全力で戦い抜きます。ぜひ、ホンダのモータースポーツ活動、そして、ホンダの新たな挑戦に皆さまの変わらぬご理解、ご声援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます」