2020年10月9日金曜日日本時間18時(現地11時)、F1第11戦アイフェルGPがドイツ・ニュルブルクリンクで幕を開ける。衝撃的なF1撤退発表から1週間、このグランプリはホンダにとって重要なレースとなる。なにかと注目を集めるだけに、意地でも優勝したいところだろう。現地ニュルブルクリンクは相当冷え込んでいるようで、この気候がレースにどのような影響を与えるかも興味深いところ。ホンダ勢を中心に、フリー走行を控えた直前情報をお送りしよう。

残りすべてのレースでポディウムを目指す

先週の金曜日、10月2日、ホンダは2021年シーズンをもってF1へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了することを発表。アイフェルGPはその発表後初めて迎えるレースウイークになる。

パドックではすでにホンダ撤退が大きな話題となっているようだ。ホンダにとって、レッドブルとアルファタウリとともに勝利を目指せるチャンスは、今季そして来季とまだ20戦以上残されており、ここからどうグランプリを戦うか、ホンダの真価が問われることになる。もちろん、ホンダはこれまでと変わらぬ姿勢で、情熱をもって最後まで全力で駆け抜けるはずで、その姿をしっかりと目に焼きにつけておきたい。

画像: アイフェルGP開幕を前に、コースをチェックするアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ/右)。ニュルブルクリンクはかなり冷え込んでいる。

アイフェルGP開幕を前に、コースをチェックするアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ/右)。ニュルブルクリンクはかなり冷え込んでいる。

画像: ニュルブルクリンクのGPコースのレイアウト。高速コースであるものの、低速と中速のコーナーが多く、トラクションが必要になる。最高速は意外と低い。

ニュルブルクリンクのGPコースのレイアウト。高速コースであるものの、低速と中速のコーナーが多く、トラクションが必要になる。最高速は意外と低い。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「先週、ホンダは2021年末でF1参戦を終了するという決定をアナウンスしました。F1のプロジェクトメンバー全員が、我々のすばらしいパートナーであるレッドブル、アルファタウリとのプロジェクトを終えなければいけないということを本当に残念に思っています。両チームとここまで一緒に進化を続け、表彰台や勝利を獲得してこられたことを改めて誇りに思うとともに、両チーム、ドライバーと一緒にこの先に残された一戦一戦を今まで同様に全力を尽くして戦い、さらなる勝利をつかみ取りたいと考えています。また、両チームはもとよりFIA、F1に対してもパワーユニットマニュファクチャラーとしての責任を来シーズンが終了する最後まできちんと果たしていきます。今回のレースの舞台となるニュルブルクリンクは、F1での長い歴史を持つサーキットです。緑豊かなアイフェル山地の中に位置し、標高600mほどの山地のために荒天・低温になりやすいということが特徴です。今週末も雨の予報や、今までのレースと比べてかなり低い外気温と路面温度が予想されています。ニュルブルクリンクでのF1開催は2013年以来となりますので、現行のハイブリッドレギュレーション下では初めてのレースとなります。シミュレーションなど事前検討を十分に行うこと、また走行開始から得られたデータを解析し最適化を迅速に進めることが重要になると考えています。ロシアGPに続き4台がきちんと完走すること、パフォーマンスを最大限に発揮してよいレースができることを目指して臨みます」とコメント。ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: 今季すでに7回表彰台に上がっているレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。

今季すでに7回表彰台に上がっているレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。

「とてもリラックスできていますし、F1では走ったことがないサーキットなので、楽しみにしています。ムジェロと同じように、未知の経験にはわくわくします。ニュルブルクリンクはとてもテクニカルなコースなので、僕は好きです。気温はこれまでのレースよりも大幅に低くなりそうですし、雨の可能性も少しあるので、おもしろいレースウイークになるかもしれません」

「ホンダがF1から去るというのはとても残念です。僕らはとてもいい関係を築けていて、プロジェクトに関わる全員が献身的に努力しているのを見てきましたし、僕にとっても特別な存在であるだけに、なおさらです。今の段階で言えるのはそれだけですし、僕らが目指していくものは何も変わりません。今シーズンもまだレースがありますし、来年もともに戦っていくわけで、残りすべてのレースでポディウムを目指していきます。これは僕らにとっていい目標です。僕らは常に、可能な限り最大の結果を出していきます」

アレクサンダー・アルボン

画像: トスカーナGPで表彰台に上がったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。ロシアではギアボックス交換のため15番手スタートとなったが、10位にくい込んだ。

トスカーナGPで表彰台に上がったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。ロシアではギアボックス交換のため15番手スタートとなったが、10位にくい込んだ。

「ニュルブルクリンクは本当にいいコースで、フォーミュラ ルノーとF3で走った経験があります。独特なレイアウトで、傾斜のある高速コーナーは、ドライバーにとってはとても楽しいです。今年のレースは高速の展開となるはずですが、天候は悪いという予報なので、ずっとドライだったら逆に驚いてしまうと思います。おもしろいレースウイークになるはずですし、防水対策をしなければですね」

「一緒に働くのは本当に楽しかっただけに、ホンダが去ってしまうというのは悲しいです。彼らはすばらしいチームです。ただ、僕の中では、レースウイークに向けて何も変わりません。ドライバーとして目の前の仕事に集中し、できる限り力強い結果を残したいと思います」

ピエール・ガスリー

画像: このところ素晴らしい走りを見せているアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー。展開が向けば、イタリアGPの再現もある。

このところ素晴らしい走りを見せているアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー。展開が向けば、イタリアGPの再現もある。

「まず始めに、過去4年にわたってともに歩んできたホンダがF1から去ることに悲しい思いです。ホンダの人々は僕のキャリアの中でも大きな役割を果たしてくれていますし、彼らと働くことが大好きです。まだ来年末までは仕事ができますし、その中でさらなる勝利へ向けて戦っていければと思いますし、その中でホンダがタイトルを狙える位置にいることを願っています」

「ドイツでの戦いですが、僕らはロシアでの好パフォーマンスを経てニュルブルクリンクで戦うことになります。ロシアではもっと上を狙えたはずです。予選でQ3に進出したことがデメリットになる場合もあって、Q2で履いたソフトタイヤでスタートした結果、かなり早めのピットストップを強いられ、第2スティントでトラフィックにつかまってしまいました。ただ、ペースはよく、特にクリーンエアの場面では顕著だったので、バーチャルセーフティカーの際にややギャンブル的なピットインをしましたが、効果的ではありませんでした。いいバトルができましたし、7位までは狙えたと思います」

「ニュルブルクリンクでは、2014年にフォーミュラ・ルノー3.5でレースをしたのが最後です。なかなかテクニカルなレイアウトで、独特の複合コーナーがあり、低速と中速コーナーが入り混じる中でリズムに乗っていくことができます。そして、1コーナーは下り坂でのブレーキングとなるので、難しくなる傾向があります。要するに、一筋縄ではいかず、おもしろいサーキットなんです。気温が低くなるようですが、それもここでは特に不思議ではありません。寒さについてはマシンに乗ってガレージで待機しているとき以外はあまり問題ありませんが、待機時は本当に寒さを感じます。タイヤの扱いについても、温度を上げるのが難しくなるはずです。ここまで雨のレースがあまりないので、降ってくれればと思っています。また、オーバーテイクが簡単なサーキットではないので、予選が重要です。しばらくここでのレースはなかったので、フリー走行ではたくさん仕事をして、なるべく早く正しいセットアップを見つけなければなりません。全員にとっておもしろいチャレンジになるはずです」

ダニール・クビアト

画像: 前戦ロシアGPで8位に入賞したダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。

前戦ロシアGPで8位に入賞したダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。

「ロシアでのホームレースは、後半で遅いマシンに引っかかって少しフラストレーションはあったものの、かなり満足のいく結果となりました。チームにとって貴重なポイントを獲得できましたし、レースペースもかなり力強かったです。グランドスタンドにファンがいる光景がどれだけいいものなのかを、しばらく忘れていました。無観客のレースが続いたことで改めてそれが分かりましたし、レース前に観衆の姿が見えて、僕の名前を呼ぶ声が聞こえたことで、とても胸が高鳴りました。今年は状況が変化したことで、観客の皆さんがいることの重要性を再認識したと言えるでしょう」

「ここ最近のパフォーマンスには満足できており、スパから調子が上がり続けています。エンジニアとの仕事もうまくいっており、競争力を発揮するために何が必要なのか、理解が深まっています。こうした正しい方向性の中で、ソチでもまた進歩できたので、ニュルブルクリンクでも学びを止めず、ハードにプッシュしていきます」

「ニュルブルクリンクではしばらくレースをしておらず、GP3で走って以来、7年ぶりです。長い歴史を持つ伝統的なすばらしいサーキットで、とても楽しみです。かなり気温が低くなりそうなので、天候が注目されています。寒いコンディションというのは、テストでは経験があるものの、レースでは全くないので、興味深い展開になるはずです。みんな、雪だけは降らないでくれ、と思っているはずです。特筆するようなコーナーはないものの、走りを楽しめるコースで、低速、高速両方のシケインがあっておもしろいです。ターン1は下り坂でのブレーキングとなるので、特にレースの1周目は用心しなければならないと思います。攻め方も複数あるので、いいラインを見つけなければなりません。僕らのマシンパフォーマンスについては、ロシアで明るい兆しが見えたので、それが継続すれば好結果を得るチャンスがあると思います」

「最後に、来年末でホンダがF1から去ってしまうというニュースを聞いてとても驚きました。ホンダのエンジニアとの仕事を楽しんでいたので悲しいですし、これまで可能な限り最高のパワーユニットを届けるために懸命な努力をしてくれて、一緒にいい結果も出してきただけに、残念です。ホンダはF1にいる限り常にプッシュし続けてくれるはずです」

【参考】2020年第10戦ロシアGP 決勝 結果

優勝 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)53周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+7.729s
3位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+22.729s
4位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+30.588s
5位 3 D.リカルド(ルノー)+52.065s
6位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +62.186s
7位 31 E.オコン(ルノー)+68.006s
8位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+68.740s
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+89.766s
10位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+97.860s

【参考】F1ドライバーズランキング(第10戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)205
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)161
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)128
4位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)65
5位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)64
6位 D.リカルド(ルノー)63

第11戦アイフェルGPは10月9日18時(現地時間11時)から始まるフリー走行で開幕、予選は10月10日22時(現地時間15時)、決勝は10月11日21時10分(現地時間14時10分)に開始される。

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