「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「ダイハツ ブーン ルミナス/トヨタ パッソ セッテ」だ。
ダイハツ ブーン ルミナス/トヨタ パッソ セッテ(2008年)
「プチバン」とも呼ばれる、コンパクト ミニバンの販売が好調だ。これ1台で何でもこなすオールマイティ性の高いスタイルに、ダウンサイジングの風潮やイニシアル&ランニングコストの低減を意識すると、確かにこのカテゴリーが台頭してくる。もちろん、現在のトップランナーはホンダのフリードだ。
そこにまた、いかにも売れそうな1台(2台?)として登場したのが、このルミナスとセッテ。当然だがベースとなったのはブーンとパッソ。したがって企画も製作もダイハツが担当し、トヨタへはOEM供給となる。
そもそもこのクルマが生まれた経緯は、軽から普通車への移行組に向けてのフォローから始まっている。じつは、その移行組は月に4500台ほどあるそうで、そのうち必要に迫られての3列シートへの乗り換えは27%に及ぶ。こうしたニーズは、軽が持つコンパクトさのメリットは維持した上で、でも3列シートが必要というもので、けっして大きなミニバンが欲しいワケではない。つまり、ウィッシュやストリームでも大きすぎるというのだ。
スライドドアにしなかったのも、それが理由のひとつ。とにかく、サイズも価格も抑えるためだ。そしてもうひとつは、ファミリーっぽさを極力払拭したいということにあったのである。これはターゲットとなる「アラサー&アラフォー」世代の声によるもの。「独身の友だちや子供のいないお隣の奥様はカッコいいクルマに乗っている。私だって所帯じみたファミリーカーよりもカッコいいクルマに乗りたい!」という本音に応えたものなのだ。