「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「ダイハツ ブーン ルミナス/トヨタ パッソ セッテ」だ。

クルマを企画する段階で、きっちり実際のユーザーが見えているために、その要望にも確実に応えていこうと努めている。したがってユーティリティ面も、女性の日常生活に必要な装備がふんだんに盛り込まれている。たとえば、狭い街中で使うことを考慮した5.2mの最小回転半径。セパレートかベンチかを、グレードによって選択できる1列目シートという具合だ。

ちなみにこのシート配列は、かなりの重要課題。ウオークスルーは前後と左右どちらが優先かというのは、子供の年齢を含めたライフスタイルによって、ずいぶん変わってくるからだ。そして言うまでもなく、2列目以降もうまくレイアウトされている。2列目のスライド量は大きめに、3列目の足元は2列目のシート下にきちんと収まるなど、フル乗車でも無理せず座れるような絶妙な配置だ。さらに基本的には3列目は普段はたたんでおくことを前提に作られているので、ラゲッジスペースはその状態で考えた方がいい。

パワー的にはフル乗車+フル積載でもまったく問題なし。ストップ&ゴーの多い一般道でも、むやみにアクセルを踏み込まずとも「スルスル〜ッ」と加速していってしまう余力に、少々ビックリさせられたほど。形状的に横風も受けるし、タイヤサイズも小さいので、高速でカッ飛ばすというわけにはいかないが、それくらいゆとりがあると思ってもらえばいい。

一方で乗り心地に関しては、5名乗車を標準に設定してあるため、1〜2名だと路面によっては少しハードに感じられる。逆に7名乗車でも底づき感はなく、1クラス上のクルマのような重厚感やドッシリ感が伝わってくるくらいだ。つまり、いちばん不安要素を払拭したい場面で、しっかり感が感じられる設定になっているということなのだろう。3列ミニバンとしてのミニマムサイズを追求したルミナスとセッテ、いかにも売れそうなクルマだ。

画像: このサイズでスライドドアにすると開口部の幅が厳しく、3列目への乗降性を考慮するとスイングドアの方が有利という面もある。

このサイズでスライドドアにすると開口部の幅が厳しく、3列目への乗降性を考慮するとスイングドアの方が有利という面もある。

■ダイハツ ブーン ルミナス CX 主要諸元

●全長×全幅×全高:4180(4195)×1695×1620mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1190kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1495cc
●最高出力:80kW<109ps>/6000rpm
●最大トルク:141Nm<14.4kgm>/4400rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:21.0km/L(19.6)
●タイヤ:185/55R15
●当時の車両価格<税込み>:173万5000円(186万5000円)
( )内はパッソ セッテS

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