2008年、ビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツSLは、目を見張る充実した内容となっていた。ダイレクトステアシステム、SL63AMG、AMGスピードシフトMCTの設定など、見所もたっぷり。ここではアメリカ・カリフォルニアで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年6月号より)

マイナーチェンジを機にSL63AMGを新規導入

一方、今回のマイナーチェンジを機に新規導入となったのがSL63AMG。そのネーミングからも想像できるとおり、搭載されるのはすでに他車種での実績を持つ6.2LのAMG自社開発製ハイパフォーマンスユニット。注目はそんな心臓と組み合わされて搭載の7速ATに採用されるスタート用クラッチメカニズム。他車種で用いられるトルクコンバーターに代わり、このモデルでは湿式多板クラッチを採用するのだ。

AMGスピードシフトMCTと呼ばれるそんな新トランスミッションを、最高525psを発するエンジンとドッキングさせたこのモデルの動力性能は当然凄まじい。1気筒当たり800ccに迫ることを忘れさせる、高回転域まで引っ張ったときの際立つパワフルさもさることながら、わずかに2000rpmですでに500Nmに達するというトルクが生み出す強力な粘り強さもまた、3Lあるいは4Lといった「小排気量」エンジンでは味わえない迫力のテイストだ。

C(コンフォート)、S(スポーツ)、S+(スポーツプラス)、そしてM(マニュアル)と4つのモードスイッチで、S+もしくはMモードを選択した際のパドル操作に対するシフトの素早さは、このところ話題のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)も顔負けのシャープなもの。実際、例の多板クラッチの食いつきの良さも手伝い変速に必要な時間はわずかに0.1秒という。

7速ギアから一気に4速ギアへのキックダウンも可能とするなど、出来の良いこのトランスミッションが、高回転・高出力型のエンジンの魅力をより一層引き出してくれている感は強い。

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