そうした実績、そして期待を踏まえて送り出されたW204型のコードネームで呼ばれる新型Cクラスステーションワゴンは、基本的にはこれまでの正常進化型とみて間違いない。しかし写真を見ていただければ一目瞭然だが、そのスタイリングには見逃せない変化の跡がうかがえる。先代ではクーペのように寝かされていたリアゲートが起こされて、いかにもワゴンらしい姿への回帰が図られているのだ。
しかしながら、その外観には、これまでのライフスタイル志向からいきなり実用性重視に転向してしまったような堅苦しさはない。それがこのスタイリングの巧いところである。
サイドビューを見ると、緩やかな円弧を描くルーフは前席頭上辺りをピークに後方に向かってなだらかに下降している。それに対してボンネットの見切り線から連なるウエストラインは逆に徐々にせり上がっていき、やはりルーフラインに沿わず後端で収束するサイドウインドウと相まって、荷室部分の天地をグッと薄く見せているのだ。リアゲートの角度を起こしながら、これだけの軽快感を与えることができたのは、まさにそうしたデザインのマジック。逆に言えば、そうしたラインを描けたからこそリアゲートをしっかり立てることができたというわけだ。
ボディはセダンと同じく全体に若干ながら拡大されている。全長4600mm×全幅1770mm×全高1460mmという数値は、先代との比較では全長が50mm、全幅が40mm大きく、全高だけが5mm小さい。2760mmのホイールベースは45mmの拡大だから、つまり前後オーバーハングは据え置きということになる。また、セダンとの全長の差は15mmと、ごくわずかである。
このサイズアップと角度の起こされたリアゲートによって、積載性能は大幅に向上している。ラゲッジスペースの容量はリアシートを起こした状態で先代の430Lから450Lに。2名乗車時の最大容量は、やはり1314Lから1465Lへと大幅に拡大されているのだ。
実際に計ってみても、フロアは通常時で幅110cm、奥行き100cm、高さは80cmほどと、十分過ぎるほどのサイズを確保。リアシートを折り畳んだ状態ならば、長さ180cm超のものまで飲み込んでくれる。地面からリアゲート開口部下端までの高さは約60cmほどで、しかも開口部とフロアの間にほとんど段差がないため、重い荷物を積む時だけでなく降ろす時も難儀しないで済む。