2008年4月、W204型メルセデス・ベンツCクラスのステーションワゴンが日本上陸を果たした。セダン同様の走り、扱いやすさを維持しながら、高い実用性やカジュアルさも追求したワゴンはどんな仕上がりを見せていたのか。Motor Magazine誌ではC200コンプレッサーとC250を連れ出して試乗を行っている。(以下の試乗記は、Motor Magazine2008年6月号より)

シングルフォールディング式に改良されたリアシート

広いだけでなく使い勝手への配慮も行き届いている。目をひくのは、リアシートが先代のダブルフォールディング式ではなく、背もたれを倒すだけのワンアクションで折り畳み可能となったこと。この状態でフロアはフルフラットになる。

容量を考えれば、またドイツ車らしい質実剛健ぶりを期待するならば、あるいは不満に思う向きもあるかもしれないが、荷物を持ちながら、あるいは子供を抱きかかえながら片手でも操作が可能になるなど、使いやすさという面では明らかに向上しているのも事実。これは進化と受け取りたい。

手元のノブを軽く押し下げるだけで収納できる便利なトノカバーも従来から踏襲。不満として浮かぶのは、フロア下に小物を入れておくスペースがないことくらいという、実に使い勝手の良いスペースとなっている。

ラインアップはセダンにほぼ準じる。C200コンプレッサー、C250のそれぞれエレガンス、アバンギャルドが用意され、さらにエントリーモデルとしてセダンにも追加されたばかりのC200コンプレッサーが設定された全5グレードである。C300アバンギャルドSが選べないのは、セダンに対する販売ボリュームからすれば仕方のないところだろう。

では、気になる走りっぷりはどんなものだったろう。最初に乗り込んだのは、おそらく販売の主力となるに違いないC200コンプレッサーステーションワゴン アバンギャルドだ。

ドライバーズシートからの景色にはセダンとの違いはまったくないと言っていい。唯一、ルームミラーに映るリアウインドウがセダンより遠くに感じられるというくらいである。

実際に走り出しても、その手応えはよく知るCクラスのそれと、ほとんど変わるところはない。それでも、目を皿のようにして観察するとわかるのは、まず乗り心地。セダンに較べて、わずかに硬いという印象を受ける。いや、「硬い」という言葉では誤解を招くかもしれない。あえて言えば「硬め」ぐらいか。ゴツゴツと角があるわけでもなく、その差はセダンと乗り較べなければ指摘できない程度のものだ。

その印象はリアシートでも変わらない。空間的な広さも、またシート自体のサイズや形状もセダンとの違いは皆無と言ってよく、それゆえに足元や膝まわりの空間にはそれほどの余裕はないものの、狭苦しさや居心地の悪さを感じさせることはない。むしろリアシートに人を乗せていた方が乗り心地が落ち着くのは、やはりワゴンらしく高負荷を想定して相応にサスペンションが締め上げられているからだろう。

車内の密閉感、あるいは剛体感のようなものも、何となく薄く感じられる。具体的にはリアまわりからの音の侵入がわずかに大きく感じられ、またボディの剛性感も劣るという印象。しかし、リアコンパートメントがこれだけ大きく開いているステーションワゴンだけに、それは当たり前の話。むしろ、それを若干というレベルにとどめていることを褒めるべきだろう。

実は今回は、試乗にセダンも同行させていたため、こうした微細な差を感じ取ることができたが、そうでなければ、これらの違いに気付けたかどうか自信はない。つまり、セダンから乗り換えようとか、あるいは買い足そうというのでもない限り、乗り味の差はほとんど気にしなくて良いと言って良さそうだということである。

画像: C200コンプレッサーステーションワゴンアバンギャルドのインテリア。インテリアトリムはブラックバードアイメープルウッド。HDDナビゲーションシステムなどを持つCOMANDシステム、パーキングアシストリアビューカメラ、Bluetooth対応ハンズフリー機能は標準装備。

C200コンプレッサーステーションワゴンアバンギャルドのインテリア。インテリアトリムはブラックバードアイメープルウッド。HDDナビゲーションシステムなどを持つCOMANDシステム、パーキングアシストリアビューカメラ、Bluetooth対応ハンズフリー機能は標準装備。

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