2008年に正式発表されたメルセデス・ベンツGLKは、ブランド初のコンパクトSUVとして大きな注目を集めた。様々なメーカーが参入する人気カテゴリーだけに相当な力が入っていることは想像に難くないが、実際にはどうだったのだろう。発表後すぐにスペインで開催された公開テストドライブの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

メルセデス・ベンツ初のコンパクトSUV

成熟した欧州自動車市場向けに、各メーカーはニッチモデルの開発に大忙しである。ユーザーの関心が既存のモデルから遠ざかっているためだが、同一プラットフォームをベースにした派生モデルは利益が大きいというメーカー側の都合もある。とりわけコンパクトSUV市場にはこれまでに様々なメーカーから数多くのモデルが誕生している。

メルセデス・ベンツがこの分野に興味を持ったのは実はもう5年以上も前のことだが、クライスラーとの問題など様々な理由で遅延し、BMWのX3に先を越されてしまった。しかし、新たなライバルと目されるアウディQ5の発売前には、何とか間に合わせることができるようである。

そうしたライバルへの牽制という意味もあって、このメルセデス・ベンツGLKのドイツ国内向けワークショップ公開テストドライブが、国際試乗会を前にして行われたので、その報告をしよう。

スペインのピレネー山脈にあるメルセデスのテストトラックで行われたイベントに現れたメルセデス・ベンツ初のコンパクトSUVは、全長4528mm、全幅1840mm、そして全高1689mmと、ライバルと同等の平均的なサイズを持っている。

しかしGLKのデザインは、柔らかな丸みを帯びたラインや面を持ったこれまでのコンパクトSUVとは明らかに一線を画した、エッジの効いたラインと強固な平面から構成されている。それゆえに初対面の印象は、コンパクトなGクラスといったもので、モデル名を噂されていたMLKではなくGLKとした理由がよくわかった。

インテリアはCクラスをベースにしたもので乗用車的である。唯一ナビゲーションのモニターはオフロードでの振動対策か、ダッシュボード上に固定されている。このナビゲーションシステムには、オフロード走行に対する特別なプログラムが用意されている。たとえば、デジタル化されたルートから外れた走行を始めた場合、その地点から自動的に軌跡が記憶され、それをたどれば元のルートに戻ってくることができる。

画像: メルセデス・ベンツ初のコンパクトSUV

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