2008年に正式発表されたメルセデス・ベンツGLKは、ブランド初のコンパクトSUVとして大きな注目を集めた。様々なメーカーが参入する人気カテゴリーだけに相当な力が入っていることは想像に難くないが、実際にはどうだったのだろう。発表後すぐにスペインで開催された公開テストドライブの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

ヘビーデューティな個性が市場で受けるかどうか注目

テストに用意されたモデルはGLK350で、272psの3.5L V6エンジンを搭載したトップモデル。トランスミッションは標準で7Gトロニックが組み合わされる。

ところでこのGLKに搭載される4WDシステムは、メルセデスのお家芸である4MATICである。センターデフを装備した本格的な四輪駆動で、そのシステムはおよそ70kgと軽量、コンパクトなのが特徴である。基本的なトルク配分はフロントに45%、リアに55%だ。

またESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)やASR(アンチスリップレギュレーション)などとの相互作動も巧みに行われるようになっている。また、新たにセンターデフに組み込まれた多板クラッチにより、雪や氷などに覆われた低ミュー路においても絶妙なトラクションを発揮するという。

さらにオプションで用意されている「オフロードテクニックパッケージ」でマニュアルプログラムを選択すれば、ステアリングコラムから生えたパドルで積極的なシフト操作ができる。またこのシステムの中には、スピードを4km/hから18km/hまでクルーズコントロールレバーでセットできるDSR(ダウンヒルスピードレギュレーション)も含まれている。

限られた時間内にステアリングを握った感触は、これまでに乗ったシティオフローダーとは違った非常にしっかりとしたものだった。また最低地上高は201mm、さらにアプローチアングルは23度、デパーチャーアングルは25度と悪路走行への対応も万全なので、ふつうならばまず入り込むことのできない場所でも余裕を持って進入することができた。

またこの日は35度の急坂を上り下りするデモンストレーション走行も行われた。これは2755mmという比較的短いホイールベース、そして816mmと957mmという前後の短いオーバーハング、さらに1830kgという軽い車両重量のためにできることであると開発担当者は誇らしげに語っていた。

すなわちGLKは既存のコンパクトSUVに比べるとボディ剛性はもちろん、オフロード性能もワンランク上の頼もしさを備えているのだ。しかし、果たして一般ユーザーがこれほどの本格的なSUVを望んでいるかは多少の疑問がなくはない。

思い切りエッジの立ったデザインで他のコンパクトSUVとは異なる衣装と、ヘビーデューティなオフロード性能を有して登場したメルセデス・ベンツGLK。このユニークな存在が果たしてソフト志向が強い市場で受けるかどうか、注目である。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年8月号より)

画像: ヘビーデューティな個性が市場で受けるかどうか注目

ヒットの法則

メルセデス・ベンツ GLK350 主要諸元

●全長×全幅×全高:4528×1840×1689mm
●ホイールベース:2755mm
●車両重量:1830kg(EU)
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:272ps/6000rpm
●最大トルク:350Nm/2400-5000rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:7速AT
●最高速:230km/h
●0→100km/h加速:6.7秒
※欧州仕様

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