「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「日産 フーガ」だ。

ともあれ、スタートボタンを押して走り始めた。最初はそっと、それから右足に力を込めていくと・・・! 3.7LのVQ37VHRエンジンを搭載しているのだから加速が良いのは当たり前だが、驚いたのは乗り心地とハンドリングだ。

良くできた欧州車の乗り味でフラットライドという表現が使われるが、その実態は意外にタイヤの硬さをダイレクトに伝えたり、パツンパツンに張った感じがあるものだ。ところがフーガは、ボディはフラットな姿勢のまま、文字どおりタイヤとサスペンションだけが動いている感じなのだ。

それでいて、ブルブルとした振動や頼りなげな動きはまったくない。あとで聞いたところ、今回はとくにプラットフォームのリアまわりの剛性アップを重点に置いて開発したというから、それが効いているのだろう。

しかし、それにも増して効いているのは、新たに採用されたダブルピストンのショックアブソーバーだ。これは本当にすごい。20インチというクラス最大サイズのタイヤ&ホイールを履くタイプSでも、見事に履きこなしていたのだから。

この好印象は、コーナーに入ると一層強くなる。ステアリングを切るスピードに車体の向きはダイレクトに反応するものの、ロールの進行は非常に穏やかで恐怖感はない。これには、標準装備される4WASも大きく貢献しているが、その安定感の高さはもはや日産の独壇場といえるだろう。

見てよし、乗ってよしの新型フーガ。エンジンのフィーリングやエキゾーストノートの聞かせ方などにまだ改善の余地はあると感じたが、総じて言えばプレミアムセダンを名のるにふさわしい出来映えだ。男なら所有してみたい・・・そんなオーラが全身から漂っていた。

画像: ドライブモードセレクターをSPORTモードにセットすれば、スカイラインも顔負けのスポーティなハンドリングも楽しめる。

ドライブモードセレクターをSPORTモードにセットすれば、スカイラインも顔負けのスポーティなハンドリングも楽しめる。

■日産 フーガ 370GTタイプS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4945×1845×1500mm
●ホイールベース:2900mm
●車両重量:1750kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3696cc
●最高出力:245kW<333ps>/7000rpm
●最大トルク:363Nm<37.0kgm>/5200rpm
●トランスミッション:7速AT(マニュアルモード付き)
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:9.5km/L
●タイヤ:245/40R20

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