ピュアEVを買う理由はもう「補助金」だけじゃない
バッテリーユニットの重量が約350kgゆえに、車両重量も前出のICE(内燃機関)より300kgほどプラスとなる。それでも、スタートの瞬間から大トルクを発する電気モーターの特性に加え「ほとんど無音」という特徴もあって、滑り出すように加速をする。「激速感」は伴わずとも、力不足の印象はまったくない。
意外だったのは、そのフットワークのテイストがむしろエンジン車よりも好ましく思えたこと。高速道路の大きな起伏などでは時にダンピング不足感を意識させられはしたものの、それでもフラット感の高さなどから総じて「これはプジョー車でもっとも優れた乗り味の持ち主ではないか!」と思わされることになったのだ。
一方で「ならば、こちらのパワーユニットを選択するのか?」と問われれば、高速道路上拠点での「順番待ち」や、天候が崩れれば雨の中での作業を強いられる可能性もあるといった充電インフラの不確実性が気にはなる。まだ、二の足を踏みそう・・・というのが正直なところでもある。
それでも、スローペースながらそうしたネガが一歩一歩解消されて「真の実用車」に近づきつつあることを改めて実感できた。429万円からという価格設定を含めて、個人的には「ピュアEVが、インセンティブ頼りから脱するタイミングが見えてきた」と思わされるSUV e-2008でもあったのだ。(文:河村康彦/写真:村西一海)
■プジョーSUV e-2008GTライン主要諸元
●全長×全幅×全高:4305×1770×1550mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1600kg
●モーター最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●モーター最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●駆動方式:FF
●車両価格(税込):468万円