2008年8月、ボルボのXCシリーズに3つの特別限定車が登場した。Motor Magazine誌ではその中からとくに気になったXC90 3.2 Rデザインに試乗、その魅力をレポートしている。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年11月号より)

VCC(ボルボ カーズ コーポレーション)のスペシャルビークルチームが制作

人とは違った価値観は個性と呼ばれる。付加価値が付いた限定車は、そうした個性と所有欲を満足させる1台だと言っていい。通常、販売台数が限定される限定車に試乗することは、そのモデル自体の台数が限られているためほとんどないが、今回はそれが叶った。用意されたのはボルボのXCレンジの3モデル。80台限定のXC90 3.2 Rデザイン、100台限定のXC90 ノルディック、120台限定のXC70 オーシャンレースエディションだ。

それぞれの特徴を簡単にピックアップすると、XC90 ノルディックは、XC90 3.2SE AWDをベースに装備を一部簡略化した3列7シーターSUVとして598万円という戦略的な価格が設定されたモデル。XC70 オーシャンレースエディションは、XC70 3.2SEをベースに世界一過酷なヨットレース「2008-2009ボルボオーシャンレース」からインスピレーションを得たモデルである。とくに3世代目となる後者は、限定台数も120台(昨年は1450台)とされ、より希少価値と付加価値が強調された。

そしてこの限定車3台のなかで、一番関心を惹いたのがXC90 3.2 Rデザインだ。今年のデトロイトショーでお披露目されたこのXC90のRデザインは、VCC(ボルボ カーズ コーポレーション)のスペシャルビークルチームが制作したもの。Rは「レーシング」ではなく「リファインメント(洗練)」。つまりスポーツバージョンではなく、あくまでもスポーティなテイストを持っていることを示し、ここが先代V70 RやS60 Rの「Rモデル」とは違っている。日本にはすでにC30、S40、V50のRデザインが導入されているが、それに続く第4弾がこのXC90 3.2 Rデザインとなる。

ベース車となるXC90 3.2SE AWDの価格は675万円。そしてこのXC90 3.2 Rデザインは、740万円と65万円アップとなるが、内容は価格アップを上回るものを持っている。例えば専用のデュアルスポーツテールパイプは、XC90の他モデルとの差別化をリアからでも明確にし、フェンダーエクステンションを2.5cmワイド化することにより迫力を増したスタイルを表現している。また、パイピング入りの専用スポーツシートやステアリングホイール、アルミニウムパネルやベゼル付メーターなどドライバーのスポーツマインドを刺激する演出にも抜かりはない。

他の限定車との大きな違いは、専用のスポーツサスペンションが装着されること。これがまた絶妙にいい走行フィールを引き出している。締まった足まわりは、明らかにコーナーでのロールが少なく安定した姿勢のまま走り抜けるといった感覚で、ガチガチという硬い印象はまったく受けない。また速度感応式パワーステアリングなど数々の専用アイテムも装着され、まさに他の人と同じものは嫌だという人には大きな魅力となるだろう。

最後に、この限定車3モデルには、新車登録からの3年間、日本全国のボルボディーラーでサービスを受けることができるプログラム「VSP(ボルボ・サービス・パスポート)」も無償で付いている。安心を買うという面でもメリットがあると言っていいだろう。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:島村栄二)

画像: VCC(ボルボ カーズ コーポレーション)のスペシャルビークルチームが開発した限定車XC90 3.2 Rデザイン。Rデザインの「R」はRacingではなく、Refinement(洗練)を意味する。

VCC(ボルボ カーズ コーポレーション)のスペシャルビークルチームが開発した限定車XC90 3.2 Rデザイン。Rデザインの「R」はRacingではなく、Refinement(洗練)を意味する。

ボルボ XC90 3.2 デザイン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4810×1935×1780mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:2150kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:3192cc
●最高出力:175kW(238ps)/6200rpm
●最大トルク:320Nm/3200rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格(税込):740万円(2008年当時)

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