Dセグメントスポーツサルーンとして時代をリード
ドイツのプレミアムブランド御三家がもっとも得意とするカテゴリーは、いわゆるDセグメントのセダン。具体的にはA4、3シリーズ、そしてCクラスである。そして、これらのモデルを際立たせる存在にしているのが、そのスポーツバリエーション。S4を筆頭に、M3、そしてC63AMGが、それぞれのイメージリーダーとなっている。
中でもアウディのSシリーズは歴史も古く、そのルーツは1985年に登場したWRC用のコンペティションマシンであるS1に遡ることができる。その後、1990年に初めてS2クーペとして市販モデルが完成し、続いて1992年にS2アバントが、そして1993年には4ドアセダンが追加された。
続いて1994年にA4誕生後、2.7LのV6ツインターボを搭載するS4、さらにその後のモデルでは4.2L V8エンジンを積んだS4が登場している。アウディはここまで、Dセグメントスポーツサルーンで確固たる実績を残してきたのだ。
ところが今回のニューS4では、エンジンのシリンダー数が2本減り、排気量も3Lへとダウンサイズされている。これは来たるべきドイツにおけるCO2税導入、あるいはEU環境省からの燃費罰金にも対処するためと思われる。エンジンにはスーパーチャージャーを装着し、最高出力333ps、最大トルクは440Nmを発生する。アウディ得意のターボを採用しなかったのは主にレイアウトの問題で、「スーパーチャージャーであればV6エンジンのバンク内に収めることができるから」と、開発担当重役のミヒャエル・ディックは説明する。
この結果、ニューアウディS4のスタートから100km/hまでの加速性能は、6速マニュアルで5.1秒、新採用の7速Sトロニックで5.3秒、最高速度は250km/hで、リミッターが働く。またアバントの加速は6速マニュアルで5.2秒と7速Sトロニックで5.4秒となる。