乗ってみたいクルマは、誰もがスポーツカーやワゴンを選ぶとは限らない。コンパクトなモデルでも、次々と気になる存在が登場してきているのだ。ここでは、時流に合わせてモダナイズされた趣深きふたつのモデル、シトロエン C3とアウディ A1シティカーバーに注目した。(Motor Magazine 2021年4月号より)

マイナーチェンジ後のC3とA1のクロスオーバーモデルを乗り比べ

いまコンパクトカーも上級車と同じレベルの安全装置が付き、装備品も品質感も上級車と肩を並べる時代になった。とくに欧州車はそれぞれのブランドで個性を出しているから乗る楽しみも大きいし、自分好みのモデルを選べば、そこでまた自身のパーソナリティをアピールすることもできる。

まずは、最新のアウディA1シティカーバー リミテッドエディションである。基本フォルムはすでにお馴染みのアウディA1スポーツバックだが、このシティカーバーはオフロードルックのデザインエレメントをクロスオーバーさせたものだという。A1スポーツバックより最低地上高が40mm高くされて17インチホイールを装着、河原のBBQなどで通常なら躊躇するような状況でも駆け抜けていくことができそうだ。

ルックスはホイールアーチもコントラストカラーに仕上げられ、アウディのSUVモデルを連想させる八角形のシングルフレームグリルなどでA1スポーツバックとはテイストが変えられている。取材車はパイソンイエローメタリックという美しい黄色いボディカラーに黒色のルーフで、バランス良くまとまっている。

もう1台はシトロエンC3シャインだ。マイナーチェンジが施され、フロント上部にレイアウトされたLEDのデイタイムランニングライトに加えて、その下のヘッドライトもLEDになった。グリルのダブルシェブロンは左右のヘッドライトトリムにつながるデザインに変更。取材車はブランバンキーズ(白色)にエメラルドのバイトーンルーフというカラーリングで、ちょっと派手なようだがコンパクトカーとしてはちょうど良い遊び心が演出されている。

駐車場で隣のクルマにドアパンチされても吸収できそうなエアバンプはC3のアイコンとなっているが、エアバンプのカプセルとドアミラー、フォグランプトリムは「カラーパック」でバイトーンルーフと同じカラーでアクセントが付けられている。エアバンプといいこのあたりの独創的な思考はいかにもシトロエンらしいといえる。

画像: それぞれの主張が色濃く出ている両モデルのフォルム。見ているだけでも楽しい。(左C3/A1シティカーバー)

それぞれの主張が色濃く出ている両モデルのフォルム。見ているだけでも楽しい。(左C3/A1シティカーバー)

似通ったボディサイズだが個性ある見た目と雰囲気

A1シティカーバーとシトロエンC3の2台は全長が4050mmと3995mm、全幅では1755mmと1750m、全高でも1485mmと1495mmで、よく似通っている。しかし、そうはいっても見た目の印象はかなり異なる。A1シティカーバーは横に広く見えるし、全体に走り系の匂いが漂う。C3は横に広いのではなく、丸いイメージである。その意味ではこの2台、3サイズが随分と違うように見えるから不思議だ。

このボディサイズは、市街地での使い勝手がとてもいい。路肩に四角い駐車枠があれば縦列駐車は簡単だし、デパートの駐車場などでのパレット式の入庫も楽だ。全長が短いことが小回りを効かせられることにもつながり、全幅が約1750mmと1800mmを大きく切っていることにより、狭い駐車場での乗り降りでも苦労しない。

しかし、コンパクトカーだからといって市街地走行だけが専門ではない。今回もこの2台で箱根まで乗って行き、ワインディングロードも存分に走らせてみた。そこでわかったのは、どちらも走りの面で確固とした個性を持っているということと、両車ともにとてもいい走りとコーナリングをするということであった。

画像: しなやかというよりもガッチリとした走り味。ダイレクト感あるクセのないハンドリング。(A1シティカーバー)

しなやかというよりもガッチリとした走り味。ダイレクト感あるクセのないハンドリング。(A1シティカーバー)

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