エコなだけでなく走りが楽しいe-BOXER
連れ出したのは新型XVアドバンス。新色プラズマイエローパールが眩しい、XVの最上級グレードである。まず外観は、逞しいバンパーの造形、グリル形状の変更などにより顔つきが精悍さを増している。切削光輝タイプアルミホイールも新意匠とされた。内装は、オプションの本革シートが上質で落ち着いた雰囲気を醸し出している。
その上で今回の改良では、前述のとおりe-BOXERが改良されて、新たにeアクティブシフトコントロールと呼ばれるアダプティブ変速制御が採用されたのがトピック。また、サスペンションのセッティングも見直された。
さっそくその走りを確かめてみる。バッテリーにしっかり充電された状態では、発進、そして低速時の走行は電気モーターだけで行われる。その後、すぐにエンジンが始動するのだが、この出足の軽快感からしてe-BOXERのメリットが、すでに感じられる。
SIドライブをデフォルトの「I」(インテリジェント)モードに設定しておくと、市街地などでの低速走行時には、アクセルオフで頻繁にエンジンが停止してEV走行を行う。静かで滑らかに走りながら、燃費も稼いでくれる。また、回生協調ブレーキながらペダルフィールも上々だということには触れておきたい。気持ちいい走りを邪魔しないのが嬉しい。この加減速ともに自然なフィーリングは、アイサイトの全車速追従機能付クルーズコントロールを使う時にも有効。追従がとても滑らかなのだ。をも引き上げている。
SIドライブを「S」(スポーツ)モードに入れると、アクセルオンと同時に電気モーターによるアシストが行われ、キビキビとした加速を楽しめる。全開ではなく軽く踏み込んだ時の心地いいアシスト感。これがなかなかいい。
しかもeアクティブシフトコントロールは、ドライバーのアクセルペダルワークから積極的に走りを楽しもうとしていると判断すると、制御が切り替わりエンジンが高回転域をキープするように。そしてアクセルオンですかさず電気モーターの最大65Nmのトルクが上乗せされて、実にレスポンスのいい走りを楽しめるようになる。これぞ電気モーターならではの走りだ。
新型XVの走りの楽しさには、改良されたサスペンションも貢献している。乗り心地はしなやかさを増し、鋭い入力も懐深く受け止める上質感も備わる。しっとりとしていながら意のままになるフットワークは、とても小気味いい。
電動化の一番の目的が高効率化であることは間違いないが、それだけに留まらず電気モーターのメリットを走りの楽しさ、心地良さにも使い、結果として「スバルらしさ」を高めることにもつなげているのがe-BOXERである。電動化でクルマがつまらなくなるなんてことはない。今回の試乗で、改めてそう思わせてくれたのだ。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
スバル XV アドバンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4485×1800×1550mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:対向4 DOHC+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:107kW(145ps)/6000rpm
●最大トルク:188Nm/4000rpm
●モーター最高出力:10kW
●モーター最大トルク:65Nm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・48L
●WLTCモード燃費:15.0km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):292万6000円