LMP2車両がトップタイムをマーク、ハイパーカーは不利!?
2021年4月29日に開幕するシーズン第1戦スパ・フランコルシャン6時間レースを前に、4月26日と27日の2日間にかけて、開幕戦が行われるベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでプロローグテストが行われた。
今季より採用されるハイパーカーなど35台のニューマシンが集結、トヨタGR010ハイブリッドはライバル車両と初めて対峙し、準備していた多くのテスト項目をこなした。今回のテストの主な目的は、週末に迫った2021年開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースへ向けた車両ハンドリングとセットアップの改良だったというが、ライバルとのタイム差も興味深いところだっただろう。
チームは冬季オフシーズン中のテストでまずGR010ハイブリッドの特性を把握し、その後セッティングの微調整を行った上で、このプロローグテストに臨んだ。
7号車は、初日のテストセッションで油圧および電気系のトラブルで走り出しが遅れ、さらに2日目にはGT車両との接触で修復に若干の時間を取られたものの、その後、セットアップを順調にこなした。一方、8号車は2日間を通してトラブルなくテストを終了している。
少し意外だったのは、総合トップタイムをLMP2車両のG-DRIVEレーシングのAurus 01-Gibsonがマークしたこと。まだセットアップの段階とはいえ、LMP2車両がハイパーカーカテゴリーと同等の速いラップタイムを記録したことは、2020年までのWECとは異なることを示している。
チームはテスト後もスパ・フランコルシャンにとどまり、29日に迎える開幕戦での走行セッションへ向けた準備を進めていく。なお、開幕を前に、小林可夢偉と中嶋一貴の記者会見が行われ、次のように語っている。
小林可夢偉(トヨタGR010ハイブリッド 7号車)
「7号車にとってはタフな2日間でしたが、大変な作業でコースへと戻してくれたメカニックとエンジニアに感謝しています。今シーズンはハイパーカーになったのが一番の大きな違いですが、LMP2が速くて混戦になりそうです。これまでより我々のクルマを遅くするというのがレギュレーションの狙いでしたので、これは成功かもしれません。テストでは燃料を積んで走っているので、予選ではもう少し速く走れると思いますが、車重が大きくなっているのがタイヤに負担となっている感じですね。レースではもちろん優勝を目指していますが、まずは完走してマシンへの理解を深めるのが重要だと思ってます。まだ生まれたばかりのクルマなので、乗りやすくしていきたいですね。イメージ的には昨年のTS050ハイブリッドがフォーミュラカーなら、このGR010ハイブリッドはGTカーという感じです」
中嶋一貴(トヨタGR010ハイブリッド 8号車)
「プロローグテストは、他の多くの車両と一緒にコースを走るチャンスという意味でも、我々のオフシーズンテストにおいてとても重要な役割を果たしています。決勝レースへの準備の段階で、他の車両と一緒にテストする方が良いのは明らかです。単独走行では、遅い車両への対応や、タイヤのパフォーマンスを適切に保つことを学ぶのが難しいです。この2日間のテストでも、多くの接触やアクシデントが発生したように、多くのカテゴリーの混走は容易ではありません。そして待ちに待ったレースです。信頼性とかまだ読めない部分もありますが、LMP2が速いので激しいレースになりそうです。ロングランのペースはLMP2とあまり変わらないので、オーバーテイクは簡単ではないでしょう。ハイパーカーではピークパワーが決められていますが、エンジンとモーターのコントロールはスムーズです。ただオーバーテイクの時は注意が必要かもしれません」
開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースは、29日にフリー走行が開始され、30日にはフリー走行のあとに予選が行われる。ハイパーカー新時代の幕を開ける6時間の決勝レースは、5月1日(土)の現地時間13時30分(日本時間20時30分)にスタートする。
WECプロローグテスト スパ・フランコルシャン総合結果
1位 26 G-DRIVE RACING/Aurus 01-Gibson(LMP2) 2:04.168
2位 22 ユナイテッドオートスポーツ/Oreca 07-Gibson(LMP2) 2:04.284
3位 38 イオタ/Oreca 07-Gibson(LMP2) 2:04.582
4位 8 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタGR010 HYBRID(ハイパーカー) 2:04.669
5位 7 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタGR010 HYBRID(ハイパーカー) 2:04.708
6位 29 チームネーデルランド/Oreca 07-Gibson(LMP2) 2:04.775