トヨタ VS ヒュンダイ、2021年最初のグラベルを制するのはどっちだ
2021年WRCも第4戦。開幕からの3戦は、雪混じりの舗装路、氷雪路面、そして完全な舗装路で行われたが、ラリー・ポルトガルは今シーズン初めてのグラベルとなるのが大きなポイント。ポルトガルのステージは高速区間とテクニカルな区間が混在し、多くの場面で道の表面は軟らかい砂や目の細かな砂利で覆われており、十分なグリップを得にくい。その後、次第に砂が掃けグリップは向上するものの、今度は硬い岩盤や石、深い轍(わだち)がマシンを苦しめることになる。
2020年は新型コロナウイルスの影響により中止となったため2年ぶりの開催となるが、サービスパークは例年同様、北部の大都市ポルトの郊外「マトジニョス」に置かれ、その周辺の広いエリアが戦いの舞台となる。
5月20日木曜日の夜にサービスパークの南約130kmに位置する古都コインブラでセレモニアルスタートが行われ、競技は21日金曜日の朝から始まる。
21日は、コインブラ付近のアルガニル地域で3本のステージを各2回、午前と午後で走行。その後、20年ぶりに行われるモルターグァのステージを走行した後、ロウサダのスーパーSSで競技初日は終了。なお、金曜日は8本計122.88kmのステージをサービスポイントは設けられていない。
22日の土曜日はポルトの北東に広がるカブレイラ山脈を中心に、3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。その後、ドウロ川の河口沿いに新たに設定される市街地ステージで1日が終わる。土曜日は7本、計165.16kmのステージを走行する。
最終日となる23日の日曜日は5本のステージが用意され、そのうちSS18とSS20「ファフェ」はビッグジャンプで有名な伝説のステージ(タイトル写真)。また最終ステージとなるSS20は、トップ5のタイムを記録した選手とマニュファクチャラーに選手権のボーナスポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で20本、計337.51km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1514.07kmが予定されている。
マニュファクチャラー選手権をリードするトヨタは、前戦第3戦クロアチア・ラリーではオジエが優勝、エバンスが総合2位に入っており、その勢いのまま、ポルトガルに乗り込んでいる。前戦のクロアチアでは空力パッケージをアップデートしているが、今回のポルトガルではパワーと信頼性を向上させた新エンジンを投入するという。
なお、今季WRC全戦に出場する勝田貴元は、開幕3戦連続で総合6位を獲得、前戦第3戦クロアチア・ラリーでは2度のSSベストタイムを記録しており、ポルトガルのグラベルでどんな走りを見せるか注目が集まる。
ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team代表)
「クロアチアのターマックで我々は良い結果を残しましたが、これからしばらく続くグラベルラリーに向けても準備はできています。通常、ポルトガルのステージは道の表面が砂で覆われているため、午前中のステージで最初に走行するクルマにとっては非常に滑りやすい路面となります。午後になると、タイヤのグリップは高まりますが、路面が荒れてくる場所もあり、それがクルマやタイヤにとっていかに厳しいことであるかを過去に見てきました。セブは選手権のリーダーであるが故に出走順が1番手となり、かなり難しい挑戦になりますが、きっと最善を尽くしてくれるはずです。エルフィンの出走順はセブよりも少し良く、カッレは3人の中で最も有利な出走順なので、きっと他の選手と渡り合えるでしょう。チームは2、3週間前にポルトガルでテストを行い、ピレリの新しいハードおよびソフトコンパウンドのタイヤを履いて走り、最適なセットアップを見つけようとしました。今回もまた、全チームがどのように新しいタイヤに適応するのか興味深いですが、我々は良い結果を残すことができると確信しています」
2021 WRC ドライバーズランキング(第3戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 61
2位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ) 53
3位 E.エバンス(トヨタ ) 51
4位 O.タナック(ヒュンダイ) 40
5位 K.ロバンペラ(トヨタ) 39
6位 C.ブリーン(ヒュンダイ) 24
7位 勝田貴元(トヨタ )24
2021 WRC コンストラクターズランキング(第3戦終了時)
1位 トヨタ 138
2位 ヒュンダイ 111
3位 Mスポーツ フォード 42