ズバリ、電池の充電状況を示すものだ
BEV(電気自動車)などの電池の話になったときに、話題となる「SOC」。これは「State of charge」の略で、電池の充電状態を示す。具体的には、0~100%で表示される。単純に言ってしまえば、0%が完全に電気がなくなった状態で、100%がフル充電となる。
電池の残量が、走行可能距離となるBEVにとっては、電池の充電状態は非常に重要な情報だ。また、充電・放電の効率を見るための目安にもなる。充電した電力量とSOCを比較することで、充電時の損失を把握することもできるのだ。
さらには電池にとって充電という行為は、電池の寿命を左右するものでもあるため、どのように充電するかも重要なポイントで、その目安となるのも「SOC」となる。
たとえば、一般的な車載用の12Vの鉛電池はSOCが90~100%で運用されている。それに対して、EVは10~90%の範囲で運用されるという。もちろん運用範囲が広いほど、ドライバーにとって使い勝手は良くなるが、電池の寿命という意味において条件は悪くなる。利便性と電池の寿命をどうバランスさせるかはSOC次第ということになり、その設定を行う自動車メーカーの腕前となる。
ちなみにドライバーに対する電池残量の表示は、電池の正確なSOCであるとは限らない。なぜなら電池は、完全に放電させてしまうと、構造的に壊れてしまうからだ。そのため現実的には安全のためSOCが0%にならないように、その手前で電力供給をストップさせる制御が準備されている。運転席にあるメーターが電力ゼロになっていても、実際の電池には、まだ電池を守るだけの電力が残っているものなのだ。
「SOC」と似た用語に「SOH(State of health)」がある。これは電池の健全性を示すもの。具体的には、新品の電池の容量に対する現在の状態を示す。たとえば、SOHが50%であれば、満充電しても新品に対して50%の電力量しか充電できないことを意味するのだ。(文:鈴木ケンイチ)