留まることを知らないクルマの電動化の波。それにともない、内燃機関主流の時代では馴染みのなかったクルマ用語が、これまた次から次へと登場してきている。そんな中、ちょっと乗り遅れ感のあるあなたのために、ベーシックな電動化モデル関連用語の解説を10回に分けてお届けする。掲載第5回目は、バッテリーにまつわる「セル」と「スタック」についてだ。千里の道も一歩から!なのである。

電池の最小単位が「セル」、「スタック」はそれをまとめたもの

BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)、HEV(ハイブリッド)、FCV(燃料電池車)などのEVに搭載される電池の大きさなどを表現するときに使われるのが「セル」と「スタック」だ。EVに搭載されるリチウムイオン電池は、実のところひとつではなく、小さな電池を数多くまとめたものが使われている。

その最小単位を「セル」と呼び、まとめたものを「スタック」と呼ぶ。「セル」は製品単位を意味することもあれば、素材単位を示すこともある。「スタック」は「集積」を意味する言葉だ。また、ひとつの「セル」が発生できる電力は小さいため、それらの「セル」を直列に数多くつなげて「スタック」にすることで電圧を高めている。そのためEVに搭載されている電池は直流となる。

画像: FCVであるトヨタMIRAI搭載の「スタック」。この中に「セル」が詰め込まれている。

FCVであるトヨタMIRAI搭載の「スタック」。この中に「セル」が詰め込まれている。

どのような「セル」を使うのかは、自動車メーカーや車種ごとに異なっている。たとえば、テスラは、リチウムイオン電池の汎用品として世界中に数多く流通する、円筒形の18650リチウムイオン電池を「セル」として利用している。18650電池は、単3乾電池をひと回り大きくしたような形状で、そのひとつの電圧は3.7Vだ。この18650電池を何百も直列につなげることで大パワーを生み出すのだ。

また、日産リーフは、保存食品のレトルトカレーパックのような形状のリチウムイオン電池をセルとして利用している。日産はこの形状をラミネート型と呼んでいる。また、パウチ型と呼ばれることもある。こちらもひとつあたりの電圧は低いものの、数多く直列につなげることでEVとして必要なパワーを実現する。それ以外にも、箱のような角形の「セル」も存在する。

開発した「スタック」を、複数の車種に使い分けられるよう、いくつかの「スタック」をまとめたものをモジュール化することも行われている。(文:鈴木ケンイチ)

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