ボンネット内に超高性能なエアフィルターを装備
自らハンドルを握ることは許されなかったが、メルセデスEQシリーズの最新にしてハイエンドなEQSに、いち早く同乗試乗する機会に恵まれた。
EQSは全長5216mm、全幅1926mm、全高は1512mm、ホイルベースが3210mmで、ルーフとトランクへのノッチを持たないワンモーションデザイン、すなわち大きなハッチバックゲートを持つドアセダンだ。トランク容量は通常で610L、リアシートのバックレストを倒すと最大で1770Lとなる。
プログレッシブラグジュアリーと呼ばれるデザインテーマに基づいて、一筋のエッジもない全体に滑らかなサーフェスで包まれたボディの空力特性は、Cd値0.20と量産モデルとしては世界初のレベルに達している。ここまで空力にこだわった未来的デザインを持っているにもかかわらずEQSにはリアビューカメラは採用されていない。その理由は、顧客がまだキャビン内のモニターを見ることに慣れていないこと、さらにドアミラーの空気抵抗低減よりもリアビューカメラに使用する電力消費量の方が大きいからと説明された。
EVA(エレクトリックビークルアーキテクチャー)と名付けられたプラットフォームで構築されたEQSの特徴は、通常のクルマと違って普通には開けることができないボンネットである。その下には従来のBEVにある充電ケーブルを収めるような小さなトランクも、さらに補器類も見当たらないので開ける必要がないのだ。
実は、そのスペースには596mm×412mm×40mmサイズのHEPA(High Efficiency Particular Air)フィルターが搭載されており、合計600gの活性炭とキャビン内の補助フィルターも使って車外から入り込む匂い、PM2.5の粉塵やNOxとSO2を除去する。EQSは先に発表されたSクラスを超える快適な移動空間なのだ。
Sクラス同様、タッチするとせりだしてくるリトラクタブルなドアハンドルを引いてキャビンに入ると、「ハンソロ」の仕事場を彷彿とさせるホンモノの未来がそこにあった。とくにダッシュボードいっぱいに広がる1.4mのハイパースクリーンは、丸いステアリングホイールが古臭く感じるほどの先進性で迫ってくる。もちろん採用されているマテリアルや仕上げは、Sクラスに勝るとも劣らない高級感を醸し出している。