世界中の人達が新型コロナウイルスの感染拡大による未曾有の事態を経験することになった2020年に、マツダは100周年を迎えた。広島への原爆投下をはじめ、これまでの100年を振り返れば、この緊急事態もひとつの「歴史」として、今後長きに渡り、語り継がれることだろう。そこでマツダの100年、社史編纂(へんさん=さまざまな材料を集めて整理し、書物を制作すること)を前編後編に分けて紹介する。

やらされ仕事ではできなかった!愛のある編纂に社内で大反響

そもそも百年史の構成がすごい。3部作となっているのだ。すでに完成している「エピソード編」のほか、「正史編」には企業活動の足跡を、もれなく正しく紹介している。公式な史書(歴史を記した書物)となるべく編纂されている。

そして「図鑑編」は、統計データなどをわかりやすく開示した資料集。カラー版で子どもが見ても楽しめるものになるそうだ。マツダ好きにはたまらない読み物であるが、残念ながら社史という性質上、多くの人目に触れることはない。ただ、エピソード編は広島市やその近辺の公立図書館などに寄贈されているそうなので、読んでみる機会は皆無ではない。

「たくさんの資料や素材が眠っているわけですが、いずれこうした場面で使えるだろうと、なるべく拾って、使えるようにしていました。これを面倒くさいと思ってやったら、日の目をみない資料が増えてしまいます。いずれ晴れの舞台でちゃんと輝かせてやりたい、そう思ってました。

やりたい人間がひとつになってこの百年史を作っています。前例のないものなので、お手本がありません。出版の4カ月前まで、全体のコンセプトを見直していました。ただ、配布後の反響はすごかったです。同僚のメンバーが、以前の所属部署の人からサインを求められたときはビックリしました(笑)」

響く人にはびびっときたようだ。各部署から密に情報を吸い上げ、これぞ!というストーリーをピックアップしている。中には今では真偽を確かめる術が難しい場合には、OBにまで話を聞いたという。

「『わかっとらんなー』なんて言われながら話を聞くと、世に語られている内容と違ったり。初代ロードスターの開発チームに与えられた川沿いの薄暗い事務所、通称『リバーサイドホテル』ついても、真実を確かめるために関係者の証言を頼りに、その場所を確認しに行ったりもしました。スポットライトが当たっていない話がいっぱいありますが、いずれも真実なのかしっかり検証することを意識してエピソード編をつくりました」

100年を紐解くことで、60年や80年で終わっていてもおかしくなかった会社だったと知った温品さん。いろんな人々に支えられてこその会社だったから、100年続いたのだと感慨ひとしお。マツダ愛にあふれた人たちがまとめた社史、図鑑編は2021年秋の完成を目指して、現在全力で編纂中とのことだ。

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