2021年6月13日、WEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ8時間の決勝レースがポルトガルのポルティマオ近郊のアルガルヴェ・サーキット行われ、2、3番グリッドからスタートを切ったTOYOTA GAZOO RacingのトヨタGR010 HYBRIDが1-2フィニッシュを飾った。優勝は8号車(中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー)で、これで開幕2連勝となった。2位は7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス)だった。

ハイパカーとLMP2クラスを含めた上位陣の差はわずか

トヨタGR010 HYBRIDは、開幕戦スパ・フランコルシャン6時間では1位、3位でフィニッシュしたものの、ハイパーカークラスだけでなくLMP2クラスのライバルとのタイムはそれほど大きくなく、シリーズ連覇に向けてとても楽観できる状況ではないことが明確になった。

ポルティマオ8時間レースを前に、小林可夢偉は「まだ生まれたてのクルマで、気温が高く、タイヤに厳しいポルティマオはLMP2クラスが勝ってもおかしくないレースになりそうです。スパ・フランコルシャンでも30周くらい走らないとLMP2のマシンをラップダウンできない、それくらいの差しかないんです。ロングを走るとタイヤと燃費の関係で差はもっと縮まりそうです」とコメント。中嶋一貴も「開幕戦を終えて、バランス・オブ・パフォーマンス(BoP=性能調整)により重量ハンデが26kg増、そして1スティントあたり使用できるエネルギーが5kW減とされることになりました。とくにクルマにとって重量増は大きなポイントで、タイムだけでなくタイヤにも負担がかかります」と警戒していた。

迎えた予選では、36号車アルピーヌ A480にポールポジションを奪われ、トヨタGR010 HYBRIDは8号車が2番手、7号車が3番手からのスタートとなる。なお、今回からハイパーカークラスにスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスが参戦してきたが、こちらは緒戦ということもあり、まだ仕上がり途中といったところ。

レースはトヨタGR010 HYBRIDの2台とポールのアルピーヌが三つ巴の首位争いを展開。ピットインのタイミングやタイヤ戦略の違いで首位が入れ替わる激しい戦いとなった。トヨタはレースペースではわずかにアルピーヌに及ばないが、燃料補給、ピットインの回数で1-2体制を築くと、アルピーヌとの差を徐々に広げていく。

しかし残り3時間ほどになったところでアクシデントが発生してセーフティカーが導入されると、そこまでの差は帳消しとなり、トップ3台の戦いは再燃することになる。

その後、7号車が首位をキープするも、残り周回を考えると燃料をセーブする作戦をとってきた8号車が有利な状況となっていた。ところが残り30分のところでフルコースイエローが出され全車スローダウン。ここで短い給油ピットストップを行った7号車が、8号車のすぐ後方でコースに復帰することに成功する。

こうなると7号車が逆に有利となったが、結局、わずか1.8秒差で8号車に届かなかった。アルピーヌもなにかあれば逆転できる位置でレースを進めていたが、今回はチャンスが訪れなかった。300周のレースを終え、3位のアルピーヌ36号車は、優勝した8号車トヨタGR010 HYBRIDのわずか1分8秒597まで迫っていた。

なお、このレースでトヨタは世界耐久選手権100戦目を迎えていたが、トヨタはその記念すべきレースを1-2フィニッシュという最高の形で飾り、世界耐久選手権通算32勝目をあげた。

画像: 優勝した8号車トヨタGR010 HYBRID。左からブレンドン・ハートレー、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴。8号車は開幕戦に続いて2連勝。

優勝した8号車トヨタGR010 HYBRID。左からブレンドン・ハートレー、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴。8号車は開幕戦に続いて2連勝。

TOYOTA GAZOO Racing WEC村田久武チーム代表はレース後「3台のハイパーカーがコンマ数秒を争うエキサイティングなレースでした。ハイパーカークラスがいよいよ本格的に動き出し、ファンの皆様には今後のレースでもたくさんの手に汗握るような接戦を楽しんでいただくことができると思っています。次戦のモンツァは1992年、我々が世界耐久選手権で初優勝した思い出の舞台であり、また良いレースをして、その時と同じ結果を迎えられるよう準備を進めていきます」とコメントしている。

中嶋一貴(トヨタGR010 HYBRID 8号車)

「世界耐久選手権100戦目を1-2フィニッシュで飾れたというのは素晴らしい結果です。非常に接近した戦いで、誰もが勝利を目指し、これ以上ないほど全力でプッシュし続けました。こんな大変なレースで勝てるのは、本当に最高の気分です。タイトル争いについて語るのはまだ早いですが、少しでもポイント差を広げられるのは良いことです」

画像: 「1-2フィニッシュを成し遂げた両チームを祝福します。今日のチームの働きと結果には満足しています」と中嶋一貴(右)。

「1-2フィニッシュを成し遂げた両チームを祝福します。今日のチームの働きと結果には満足しています」と中嶋一貴(右)。

小林可夢偉(GR010 HYBRID 7号車)

「我々7号車はチェッカー目前で少しだけ給油をする必要があり、勝利を逃してしまったのは残念です。チームは素晴らしい仕事をしてくれました。ドライバーも良い走りを見せられたので、勝つことはできませんでしたが、チームが1-2フィニッシュできたというのは良い結果です」

画像: 「練習走行で若干苦戦したが、決勝でレースペースには満足しています」と語る小林可夢偉。

「練習走行で若干苦戦したが、決勝でレースペースには満足しています」と語る小林可夢偉。

ハイパーカーによる戦いが続く次戦は、7月16〜18日、WEC初開催となるイタリア・モンツァで行われる第3戦「モンツァ6時間」。そのあと、いよいよ8月18〜22日の「ル・マン24時間」、9月24日〜26日の「富士6時間」と続いていく。

WEC第2戦ポルティマオ8時間 決勝結果

優勝 8 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID 300周
2位 7 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID +1.800s
3位 36 アルピーヌ・エルフ/アルピーヌ A480-Gibson +68.597s
4位 38 イオタ/Oreca 07-Gibson(LPM2) +4周
5位 28 イオタ/Oreca 07-Gibson(LPM2) +4周
6位22 ユナイテッド・オートスポーツ/Oreca 07-Gibson (LPM2)+5周

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