始動や動力補助を行うハイブリッドシステムを搭載
ボルボの新しいパワートレーンとしてXC60とXC90に投入された「B5」。簡単に言うと、これは新開発の2L直4ターボガソリンエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせているといういうもの。詳しく言うと、回生ブレーキでISGM(インテグレーテッド スターター ジェネレーター モジュール)によって発電した電力を48Vリチウムイオンバッテリーに蓄電し、エンジンの始動や動力補助を行うハイブリッドシステムが搭載されている。
当然、燃費性能向上のために開発されたテクノロジーだが、今回、このB5を搭載したXC60を使い、自動車メディア5媒体+ボルボ広報部の6台による燃費競争が開催された。限界のエコランでいったいどのぐらいの燃費が出るのか、本誌からは自称「エコランマイスター」の加藤が参加してきた。
いきなりだが、結果から申し上げると、6台中の5位の大惨敗。燃費は16.9km/Lとなった。
東京の芝公園を出発して、福島県いわき市にあるシーフードレストラン「メヒコ」までの約200kmを走ったわけだが、ゴールに着いた時は「この燃費だったら優勝だな」と同行したカメラマンと話していた。
しかし、結果発表を聞いて愕然とすることになる。優勝したエンジンチームは19.1km/Lというではないか。その差なんと13%。自分が持っているエコランテクニックを最大限に駆使して、完璧な走りができたつもりだったのに、である。
もちろん、実は自称エコランマイスターはウソだったという可能性も濃厚だが、あまりの悔しさにレストランご自慢のカニピラフが、なかなかノドを通らなかった(※注:味はメチャクチャ美味しかったです)。
まさかの大惨敗、復路のエコランで原因を検証
いったい敗因はなんだったのだろうか? 実は思い当たる節があった。最初、東京を出発したときには走行モードをちゃんと「エコモード」に設定していたのだが、常磐道で撮影の都合があって一度守谷SAに立ち寄った時に、エンジンを切ってしまったのだが、その後にエコモードにすることを忘れてしまったのだ。
エンジンを一度切ってしまうとコンフォートモードに戻ってしまうのだが、そんな大事なことに気づかず、そのままゴール直前まで走り続けてしまった。
そのことに気が付いた時には「エコモードもコンフォートモードもそんなに違わないんじゃない!?」なんて勝手な思い込みをしていたが、実際はそうではなかった。
というのも我がチームと同様に、撮影の時にエコモードにするのを忘れたモータチームが6位に沈んでいることからしても、2つのモードにはやはりなにかしら制御の違いがありそうだ。
では、エコモードとコンフォートモードでそんなにも燃費が違ってしまうものなのかという疑問が沸く。自分の性格としてこれを検証しないわけにはいかない。というわけで、復路は自由に帰ってきてよかったのだが、再度、東京までエコランをして帰ることにした。こんなワガママに付き合ってくれたカメラマンには感謝である。
復路のエコランは、エアコンなしで臨む。(当日の気温が27度とそれほど暑くなくてよかった)高速道路での平坦な場所ではACC(アダプティブクルーズコントロール)を70km/hに合わせて走行。B5は気筒休止システムを導入しており、一定条件下で2気筒での走行が可能となり燃費を向上させてくれることを利用した。
しかし、ACCは速度を合わせるために燃料を若干多め使ってしまうために、登り勾配のところではあえて外して微妙なアクセルペダルワークで乗り切ることにした。また、下り勾配でも外して、アクセルオフによるフュエルカットを最大限に活かした走りを心がけた。
こうして細心の注意を払って復路を東京まで走ったたところ、燃費は20.4km/Lを記録することができた。やはりエコモードとコンフォートモードには微妙な燃費制御の違いがあるようだ。という負け犬の壮大な言い訳原稿でした。大変失礼しました。(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:永元秀和)
ボルボ XC60 B5 AWDインスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1900×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1940kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
●最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・71L
●WLTCモード燃費:11.5km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格:734万円(2020年当時)