ブランド初の100%電気自動車として2020年に欧州で販売が始まったMINIクーパーSE。 2021年2月にマイナーチェンジを実施した、注目の1台をドイツからレポートする。(Motor Magazine2021年8月号より)
ゴーカートフィールはBEVになっても健在だ
MINIと言えはスポーティなゴーカートフィーリングで知られているが、このクーパー SEでは床下に搭載されたバッテリーの効果で重心が低くなり、ハンドリングはいっそう敏捷になった。
シャープなハンドリングと、EV独特のアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に発生する鋭い瞬発力で、街中ではスイスイとメダカのように交通の流れをリードする。とくに高効率の回生ブレーキを利用したワンペダルドライブでは、こういったシーンでは大きな利点となる。
サスペンションはやや硬めのセッティングだが、郊外路での80~130km/h巡行では快適だ。またラゲッジルームは211~731Lの容量を持つので、2人分なら1週間程度の食料品買い出しや、短期の旅行にも十分対応する。
最後になったが、オプションではあるがADASやコネクティビティはBMW車に匹敵する装備が用意されている。
MINI クーパー SEのライバルとしてはホンダeが挙げられるが、メイドインジャパン4ドアのライバルはドイツでは3万2994ユーロ(約440万円)、しかも航続距離は220kmと短い。一方、クーパーSEはベースモデルのエッセンシャルが3万2500ユーロ(約430万円)で航続距離は前述のように234kmとわずかだがほぼ価格差に反比例する利点がある。
日本の土俵で対決評価ができたら面白そうだが、残念ながらMINI クーパーSEはホモロゲーションの問題があって、現状ではすぐには日本導入は難しそうであるが、期待して待ちたい。(文:A.オーステルン/写真:キムラ・オフィス)