ひとつのユニットに、低速用と高速用のギアが接続された2基のモーターを備え、動作モードによって制御を効率的に切り換える独自の構成を備えた駆動システム。しかも、48Vで動くというから驚きだ。前後にユニットを搭載した4モーターの4WDプロトタイプ車を試乗した。(Motor Magazine 2021年8月号より)

BEVパワーユニットの新たな提案「機電一体型eアクスル」

プロトタイプモデルは、電気自動車メーカーGLMによるプラットフォームをベースに、トミーカイラZZのカウルを加工したボディが装着されたオープン2シータースポーツカーというスタイルだった。

試乗場所は1周1kmのスクエアなクローズドコースである。最初は、様子を見ながらアクセルペダルを踏んでいく。少しずつ加速度を高めていき、最終的にはアクセルペダル全開まで試した。

加速している途中でコツンという音が聞こえるが、そのショックはまったく感じない。スタートから100km/h超の領域まで山や谷がなく、直線的な加速力だった。

コーナリングも、ハンドルの効きをチェックしながら速度を上げていき、限界に近づけていった。ブレーキを残しながらのターンインでも、インへの巻き込みは強くない。コーナリング途中からフル加速しても45:55だという前後重量配分が効いているのか、安定している。もう少しジャジャ馬な性格を予想していたが、これなら誰でも安心して乗れるクルマだ。

ただしハンドルもブレーキもパワーアシストはなく、やや重めの手応え。ABSもESCも未装備で、ちょっとしたレーシングカーを走らせている印象で、小雨の中だったがその走行を楽しめた。

しかし、このプロトタイプモデルのスタイルに惑わされると、本質を見誤る。その形はスポーツカーだが、これはBEVなどの新しいパワートレーンユニットである「機電一体型eアクスル」の可能性を提案しているのだ。いま登場しているBEVよりもベーシックなシティコミューターのような車両やトラック用に展開するためのアイディアが満載されている。

画像: リチウムイオンバッテリーの電圧は48Vで容量が12.9kWh。最高速度180km/h以上、航続距離はWLTCモードで約120kmを想定。

リチウムイオンバッテリーの電圧は48Vで容量が12.9kWh。最高速度180km/h以上、航続距離はWLTCモードで約120kmを想定。

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