第74回カンヌ映画祭で四冠を獲得した映画「ドライブ・マイ・カー」が間もなく公開される。懐かしいサーブ 900が準主役のような映画を、永田よしのり氏に解説してもらおう。

村上春樹の短編小説集のエピソードから1本の映画を構成

2021年7月17日に閉幕した第74回カンヌ映画祭で、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、脚本賞、AFCAE賞の四冠を獲得した「ドライブ・マイ・カー」。原作として使用されているのは村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」から、「ドライブ・マイ・カー」「シェラザード」「木野」のエピソード。この3つを反映させて1本の映画として構成しているのだ。

主人公となる劇作家/演出家 兼 役者、家福の運転する愛車はスウェーデンのサーブ 900。生産終了してから30年近く経つクルマだが、家福のこだわりの愛車として、どこにでもこのクルマを運転して出かけて行く。原作では黄色のコンバーチブルだが、映画では風景に映えるようにと、赤色のターボ 2ドア(サンルーフ付き)を使用して撮影された。

画像1: Ⓒ2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会

Ⓒ2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会

妻を亡くして2年後、広島での舞台演出を手掛けるため、愛車のサーブ 900を走らせる家福。クルマの運転にこだわりを持つ家福だが、広島に滞在中はクライアントからの要望で専属ドライバーを手配された。最初は拒否した家福だったが、若い女性ドライバー、みさきの運転技術やクルマへの対応を認め、ハンドルを任せることに合意する。

舞台のオーディション、妻の死に関係したのではないかと思われる若い俳優の舞台への参加、さらに公演中止の危機の中、家福は自分が今どうするべきかを、みさきとともにサーブ 900で走る車中で思いを巡らせるのだった。

家福が乗るサーブ 900は劇中では東京都内、広島県から北海道へとドライビングを続ける。ロングツーリングが好きな人なら「広島から北海道に渡るのには北陸道を通って、新潟から小樽か苫小牧行きのフェリーに乗るのが時間的に一番早いかも」などと想像しながら観てしまったりもするだろう。

「15年乗っている」と劇中で家福が語るサーブ 900は、日本で1978年から1993年まで販売されていた初代モデルだ。メーカーのサーブ オートモービルは、GMの傘下に入ったのち、経営破綻から紆余曲折を経て、2012年にNEVS(ナショナル エレクトリック ビークル スウェーデン)社に買収された経緯を持つ。そして2016年にブランド名をNEVSへ変更、自動車ブランドとしての「サーブ」は消えることとなったのは、クルマ好きの読者諸氏ならご存じだろう。

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