マイナーチェンジされたアルテオンにワゴンボディのシューティングブレークが加わった。エレガントなスタイルと実用性の高いラゲッジルームを備えたパッケージングは、フォルクスワーゲンのフラッグシップモデルの新たな一面を見せてくれた。(Motor Magazine2021年9月号より)

ヴァリアントからシューティングブレークとなったワケは?

美しいデザインで2017年にデビューしたフォルクスワーゲンのフラッグシップサルーン、アルテオンがマイナーチェンジ。それを機にワゴンのアルテオン シューティングブレークがラインナップに加わった。

これまでフォルクスワーゲンは、ワゴンにはヴァリアントというネーミングが付けられていたが、アルテオンヴァリアントではなくシューティグブレークとしたのは、ワゴンを再解釈し、フォルクスワーゲン史上もっとも表現力豊かなデザインにしたからだという。機能面を前面に打ち出したヴァリアントというよりは、スタイリッシュなワゴンということなのだろう。

それはラゲッジルーム容量にも現れていて、標準時はアルテオンの563Lに対してたったプラス2Lの565Lに留まっている。さらにリアシートを倒した最大時のラゲッジルーム容量もアルテオンの1557Lに対してプラス75Lの1632Lである。つまり多用途をメインに求めたこれまでのヴァリアントとは違った世界観を持つワゴンということなのだろう。それがアルテオンシューティングブレークなのである。

アルテオンシューティングブレークは、アルテオンと同様にMQBを採用、ディメンジョンは両モデルともすべて同じサイズで、全長4870mm、全幅1875mm、全高1445mm、ホイールベース2835mmとなる、ちなみにこれは従来比で5mm長く10mm、高いだけで、全幅とホイールベースの長さに変更はない。あの美しいスタイルは見事に継承されている。

改良ポイントは、フロントとリアのエクステリアデザインの変更だが、それはオーナーでなければわからない程度に留められている。しかし、インパネ全体のデザインに改良が加えられ、先進のデジタルコックピットを採用した。

ちなみにアルテオンシューティングブレークのプライスは、Rラインが587万9000円、Rラインアドバンス&エレガンスが644万6000円となり、フォルクスワーゲンラインナップの最上位モデルというポジションだ。

画像: アルテオンとアルテオンシューティングブレークはともにMQBを使い、全長4870mm、ホイールベース2835mmは同じ。

アルテオンとアルテオンシューティングブレークはともにMQBを使い、全長4870mm、ホイールベース2835mmは同じ。

トラベルアシストや最新のデジタル化が改良の中心

試乗車はエレガンス。オプション価格20万7000円のラグジュアリーパッケージ(電動パノラマスライティングルーフ/プレミアムサウンドシステム「Harman Kardon」)を装着していた。

搭載エンジンは、最高出力272ps、最大トルク350Nmを発生する2L直4ターボでこれに湿式7速DCT(DSG)を組み合わせる。駆動方式は4モーションである。さらにアダプティブシャシコントロール「DCC」を標準装備している。

今回の試乗では、高速道路を走ることはできなかったが、ADASも新型アルテオンは強化され、パサート、ティグアン、ゴルフに続き「Travel Assist(トラベルアシスト)」が採用された。これは0~210km/hの範囲で作動、クルマがハンドル、ブレーキング、加速の操作を引き受けるというもの。アダプティブクルーズコントロール「ACC」、レーンアシストシステム「Lane Assist」をベースにしている。

さらに新しいオンラインサービス「App-Connect wireless」やタッチパネルとスライダーで操作できる「Air Care Climatronic(エアケアクロマトロニック)」も採用されるなど最新のフォルクスワーゲンモデルに相応しい機能が標準装備されている。

走りは、荒れた路面だとインチタイヤの影響もあってかゴツゴツとした乗り心地を伝えてくる。それは低速域で強く感じられた。しかし、それは速度を乗せて行くと気にならなくなり、軽快に回るエンジンの影響もあり全体的には好印象だ。

直進安定性も良くロングドライブでは、その威力を大いに享受できるはずだ。完成度の高さはさすがフォルクスワーゲン製品だと言える。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)

画像: 12.25インチディスプレイとデジタルコックピット、9.2インチのディスカバープロ用ディスプレイは標準装備。

12.25インチディスプレイとデジタルコックピット、9.2インチのディスカバープロ用ディスプレイは標準装備。

フォルクスワーゲン アルテオン シューティングブレークTSI 4モーション エレガンス主要諸元

●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm
●ホイールベース:2835mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:200kW(272ps)/5500-6500rpm
●最大トルク:350Nm/2000-5400rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●WLTCモード燃費:11.5km/L
●タイヤサイズ:245/35R20
●車両価格(税込):644万6000円

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