望外な快適性を持つXFR、ピュアスポーツモデルのXKR
ボンネットフード上のルーバーやフロント部分の大開口インテーク、トランクリッド後端のリップスポイラーなどといった専用のディテールアイテムが外観上で共通するXFRとXKRは、言うまでもなく凄まじい加速の能力がその走りの第一の特徴点だ。
発表された0→100km/h加速のデータはそれぞれ4.9秒と4.8秒とほとんど変わらないが、実は体感上の差はもう少し大きく感じられる。
XFRとXKRの比較では、アルミモノコック製ボディを奢られた後者が140kgほど軽量。そんな重量差が、アクセルペダルを軽く踏み加えた際の「加速のツキ」などにそれなりの影響を及ぼしているという実感を受けるのだ。さらに、排気系のチューニングの違いによりXKRの方がより華やかな排気サウンドを放つ点も、そうした印象を後押ししているに違いない。
そんな「軽快感の差」はハンドリングの感覚上でも同様だ。微舵効きの正確さやトレース性といった点ではXFRもまったく不満を感じないが、XKRに乗り換えるとさらなるノーズ動きの追従性の高さに、「やはりこちらこそがジャガーを代表するフラッグシップスポーツだ」とのイメージを強く抱かされる。
一方で、快適性に関してはXFRに一日の長が感じられる。テスト車が履いていたシューズは同一サイズの20インチであったものの、そこでより優れた快適性を実感させてくれたのは確かにXFRの方だった。
ファットで大径なシューズを履くモデルとしては、XKRも「大変優れている」と評価ができるレベルには達しているが、XKRに比べるとサスペンションのストローク感がさらに豊潤でフラット感が高く、低速域で路面凹凸を拾った際の突き上げ感も驚くほどに小さいXFRは、まさに「望外の快適性」を味わわせてくれることになったのである。
確かに、スポーツ度に関してはXKRに一歩譲る点も見受けられるXFRだが、運動性能とコンフォート性の高次元での融合ぶりという点ではXKRに勝るとも劣らない。
いずれにしても、メルセデス・ベンツが放つAMGやBMWのMに対して真っ向挑む走りのパフォーマンスの持ち主がこの2種類の「ジャガーのR」。単にカタログスペックを飾るだけに留まらない気合いの開発姿勢を、余すことなく実感できるスーパースポーツモデルたちの誕生だ。(文:河村康彦)
ジャガーXFR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4961×1877×1460mm
●ホイールベース:2909mm
●車両重量:1891kg
●エンジン:V8 DOHCスーパーチャージャー
●排気量:5000cc
●最高出力:375kW(510ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:625Nm/2500-5500rpm
●トランスミッション:6速AT
●EU総合燃費:8.0km/L
●駆動方式:FR
●最高速度:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:4.9秒
※EU準拠
ジャガーXKR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4794×1892×1322mm
●ホイールベース:2752mm
●車両重量:1753kg
●エンジン:V8 DOHCスーパーチャージャー
●排気量:5000cc
●最高出力:375kW(510ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:625Nm/2500-5500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:8.1km/L
●最高速度:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:4.8秒
※EU準拠